CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
思った以上にスムーズに奪還できたギター。
色々と策を練った事は、全く必要無かったみたいだ。
って言うか、後始末を考えたら、反って邪魔な事をしたみたいだ。
それほど、俺の持つ不思議な力は絶大なパワーが秘められているのだと改めて実感した。
それなら、事を解決するには一人で動いた方が良いのかもしれない。
そうすれば、回りに力の存在がバレる事を気にしなくても良いし、危険が及ぶ心配をしなくても良い。
取り敢えず、関わった人達の頭から、今回の事件を全て消去していった。
丸一日掛かってしまった。
鑑識が持ち帰った監視カメラの映像を消去させたり、彼女達の画像を破棄したりと、要らない時間を費やしていたのだ。
あの日の翌日に行ったアポロシアターでのチャリティーコンサートは、大盛況で、特別参加した俺達の私物なんかも、凄い高値で競り落とされて、その日一日で3万ドル以上のお金が募金された。
ザ・キングバードのメンバーとも仲良くなり、大会最終日の発表の日まで、フリーマーケットに行ったり、向こうのメディアに出演して意気込みなんかを言わされたりもしながら、番組内で演奏させてもらったりと、充実した日々を過ごしていた。
そして、大会30日目
結果発表の日が遣ってきた。
1週間前から、公式ホームページでの投票が続いていたが、今日の正午をもって締め切られ、直ぐに結果発表されるのだ。
現在の時刻は、午前10時。
まだドンドン投票が続いており午前11時からは、アメリカと日本とイギリスの3元同時生放送で、最後の呼び掛けをしたり、大会での今までの名シーンのVTRを流したりして、終にその時が遣ってきた。
正午を告げる時報と共に締め切られた投票。
隠されていたコンピューターのカウンター表示が、同時に一桁ずつ開けられていった。