CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
 



でも、それをやるなら、たとえ駄目になっても良い物でやらないと……。


大切な物だったら、かなり辛いものがある。


やはり、瞬間移動させるには、大きな力でやらないといけないのかも。


中途半端な力でやったから、さっきみたいな粉々になったのかもしれない。


そう思った俺は、小盤(ソバン)の上に有ったソッカラン(スプーン)を手に取り、この地下室にある冷蔵庫の冷凍室に入って行くイメージをしながら、全ての弦を開放するイメージをした。


一瞬浮いた様に見えたソッカランは、その後パッと消えた。


俺は、冷蔵庫に歩み寄り、冷凍室の扉を開けてみた。


そこには、90度に折れ曲がったソッカランが転がっていた。


…難しいなぁ。


何がいけないのか分からないよ!


曲がってしまったソッカランを眺め、


あぁあ!こんなに曲がっちゃって……


結構固いはずなのになぁ。


と、独り言を言いながら、曲がったソッカランを真っ直ぐ伸ばそうとした。


しかし、頑丈なソッカランはなかなか元に戻らず、手が痛いばっかりだ!


これを俺の、この不思議な力で元に戻せたら良いのになぁ。


曲がったソッカランを、真っ直ぐになるようにイメージして、1弦開放をしてみた。


すると、形状記憶合金の様に、みるみる元の形に戻っていった。


すっげ~!


超能力だ~!


って……


・・・・・・・


そう言えば俺、もっと凄い事が出来るんだった・・・・・


スプーン曲げ=超能力


って言うテレビのイメージがあったから、ついつい浮かれちゃったよ!


しかし、瞬間移動をどうしてもマスターしたいなぁ。


もう一度やってみますか!


今度は、入って行くイメージじゃ無くて、手から消えたスプーンが、一瞬で冷蔵庫の中に現れるのをイメージしてやってみる。


まずは1弦開放のイメージで・・・


《E弦開放》


俺の目の前で、ソッカランが一瞬で消えていった。


直ぐに冷蔵庫の扉を開けてみたら、真っ直ぐのままのソッカランが、冷蔵庫の中に入っていた。


やっと出来たか。


イメージの仕方が違うだけで、巧くいくんだ!


案外繊細なコントロールが必要なんだなぁ。


俺のギターが、無事に韓国まで移動出来たのは、奇跡に近いんだよなぁ。


と、そこへ


『お待たせ!』


< 25 / 371 >

この作品をシェア

pagetop