CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
でも、それをやるなら、たとえ駄目になっても良い物でやらないと……。
大切な物だったら、かなり辛いものがある。
やはり、瞬間移動させるには、大きな力でやらないといけないのかも。
中途半端な力でやったから、さっきみたいな粉々になったのかもしれない。
そう思った俺は、小盤(ソバン)の上に有ったソッカラン(スプーン)を手に取り、この地下室にある冷蔵庫の冷凍室に入って行くイメージをしながら、全ての弦を開放するイメージをした。
一瞬浮いた様に見えたソッカランは、その後パッと消えた。
俺は、冷蔵庫に歩み寄り、冷凍室の扉を開けてみた。
そこには、90度に折れ曲がったソッカランが転がっていた。
…難しいなぁ。
何がいけないのか分からないよ!
曲がってしまったソッカランを眺め、
あぁあ!こんなに曲がっちゃって……
結構固いはずなのになぁ。
と、独り言を言いながら、曲がったソッカランを真っ直ぐ伸ばそうとした。
しかし、頑丈なソッカランはなかなか元に戻らず、手が痛いばっかりだ!
これを俺の、この不思議な力で元に戻せたら良いのになぁ。
曲がったソッカランを、真っ直ぐになるようにイメージして、1弦開放をしてみた。
すると、形状記憶合金の様に、みるみる元の形に戻っていった。
すっげ~!
超能力だ~!
って……
・・・・・・・
そう言えば俺、もっと凄い事が出来るんだった・・・・・
スプーン曲げ=超能力
って言うテレビのイメージがあったから、ついつい浮かれちゃったよ!
しかし、瞬間移動をどうしてもマスターしたいなぁ。
もう一度やってみますか!
今度は、入って行くイメージじゃ無くて、手から消えたスプーンが、一瞬で冷蔵庫の中に現れるのをイメージしてやってみる。
まずは1弦開放のイメージで・・・
《E弦開放》
俺の目の前で、ソッカランが一瞬で消えていった。
直ぐに冷蔵庫の扉を開けてみたら、真っ直ぐのままのソッカランが、冷蔵庫の中に入っていた。
やっと出来たか。
イメージの仕方が違うだけで、巧くいくんだ!
案外繊細なコントロールが必要なんだなぁ。
俺のギターが、無事に韓国まで移動出来たのは、奇跡に近いんだよなぁ。
と、そこへ
『お待たせ!』