CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
最終章 New Develop
久し振りに実家に戻ると、何だか随分と懐かしく感じた。
今日帰って来る事は言ってあったので、KYUもソナも来ていた。
台所で、オムニ(お袋)と婚約者のソナと妹のハヌル(通称名はソラ)の3人で、夕飯の準備中であった。
「ただいま!
ソナ~!
会いたかったよ~!」
『チャンスオッパ!
私も会いたかったよ~!』
『お兄ちゃんもソナも、玄関先でいちゃつかないの!
早く入っておいでよ。
もうすぐご飯だよ。』
「おう!
分かった!」
大きなダイニングテーブルに、アボジ(親父)、オムニ(お袋)、KYU、ハヌル、ソナ、俺の6人で座る。
テーブルの上には、大好物のカンジャンケジャン(蟹の醤油漬け)やカムジャチヂミ(ジャガイモのチヂミ)、プルコギ(焼肉)やテンジャンチゲ(豆腐鍋)等が並び、サンチュ(チシャ)やナムル(オヒタシ)、数種類のキムチや青唐辛子と共にテーブルを賑わしている。
『お兄ちゃん、それで優勝賞金は何に使うの?』
「もうないよ。」
『エェ~?
もう使っちゃったの!?』
「寄付してきた!」
『寄付って!?』
「あの大会で仲良く成ったバンドの人達が、自分達の音楽で親の居ない子供たちの面倒を見てるんだよ。
毎月、チャリティーコンサートまで遣って、収益の殆どで孤児院を遣ってるんで、そこに寄付したよ。」
『凄い大変そうねぇ。
ファイナリストのもう一人のオジサンも上手だったけど、開票結果はお兄ちゃんの方が2000票も上まってたもんね。』
「あの彼とザ・キングバードのメンバーと昨日の朝まで飲んでいて、飛行機の中でずっと気持ち悪かったんだから!
もう当分ワインは欲しくないよ。」
『チャンスオッパ、お酒の飲み過ぎには気を付けてね。』
「ありがとうソナ。」
『ヒョン(アニキ)、あの最後のミッションで演奏していた曲を下さい。
何度も何度も聴いて、とても気に入りました。
歌詞も書いてみましたから、後で見てくださいね。』
「そうかい!?
それじゃあ、明日スタジオに行こうか?」
『お願いします。
明日は僕もオフ日なんで!』
「OK!」
『ところでチャンスや!
飛行機がハイジャックにあったって、大丈夫だったのかい?』
「丁度、機内に凄い刑事さんが乗ってて、あっという間に逮捕したんだって!
私は、機内放送にも気付かずグッスリ寝ていたんですけどね。」
と誤魔化しておいた。
実際、搭乗客の中にニューヨークから乗った刑事さんが居て、記憶をすり替えておいたのだ。
犯人達とキャビンアテンダントとキャブテンと刑事さんに、それぞれ記憶を操作して、俺の事は、ずっと寝ていた事にしてある。
今じゃ、あの刑事さんはヒーローに成っているだろう。
俺が観た、あの刑事さんのビジョンでは、実際にも凄腕の刑事さんで、格闘術にも優れている人物だった。
家族で話に花を咲かせながらの食事も終わり、ソナは俺の部屋に待って貰って、俺はと言うとアボジ(親父)に呼ばれて書斎に来ていた。
『ハイジャック犯を捕まえたのはチャンスだな?』
「はい、アボジ(親父)。
兎に角、早く日本に帰りたいのにショットガンなんか振り回すから!
バレないように、ちゃんとしておきましたので。」
『気を付けるんだぞ!
何処で誰が見ているか分からないからな!』
「はい、分かりました。
それでは、アンニョヒ チョムシプシオ。(お休みなさいませ。)」
『あぁ、チャルチャゴラ!(お休み!)』