CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
1. Action And Reaction
俺は今、KYUと2人でライヴツアーに出ている。
札幌から那覇まで、日本の主要都市を含めた10ヶ所で行い、最終日が
東京国際フォーラムで、これが終われば、クリスマスライヴを横浜スタジアムで行う予定になっている。
だから、家に帰って寝ることは殆ど無い。
移動先のホテルに宿泊するのが常で、ソナと会えるのは、彼女が冬休みに入ってからである。
KYUにしてもハヌル(俺の妹)に会えないから寂しいと、毎日嘆いている。
KYUは、新曲を4曲とヒット曲10曲の計14曲を、毎回ライヴで歌っているが、その新曲の1つは、俺がアメリカの大会で演奏したあの曲である。
タイトルは、
【 With the feeling to overflow 】
邦題は、(溢れ出す感情のままに)である。
先週末リリースして、既に50万枚以上売れていた。
このまま行けば、ミリオンセラーが望めそうだ!
着うたフルも、同時にスタートして、既に72万ヒットもいってる。
またまた印税が楽しみであるが、そのぶん毎日が忙しすぎて、ゆっくりデートも出来ていないのが現状である。
この間もハヌルから、
『お兄ちゃん、いつもソナを放っておいて良いの!?
ヤバイよ!
最近、特に周りの後輩君までアプローチかけてきてるんだから!
私がガードしているから、大丈夫だとは思うけど、たまにはゆっくり過ごしたら!?』
なんて言ってたんだよなぁ……。
KYUだって忙しすぎてハヌルと会えてないもんなぁ…!
少しスケジュール調整すっかな!
「分かった分かった!
時間を作ってどうにかするよ。
KYUにだって休みやんないとな!
ハヌルも、もう少しだけ辛抱してくれな。
今が一番大事な時期だから、ここで踏ん張っておかないと、周りに認知されてる今が攻撃の時だから!
これがうまく行けば、あとはゆったりとしたスケジュールで過ごせるはずだからな!」
『期待しないで待ってるから、出来るだけユーオッパ(KYUの事)に、たまにはうちに泊まっていくように言っといてよ!』
「分かった! 俺が連れて帰るから!」
『本当?
やったぁ!
じゃあさ、お兄ちゃんがユーオッパと実家に戻る日には連絡ちょうだい!?』
「どうして?」
『その時は、ソナをうちにお泊まりさせとくから!』
「マジで!?
宜しくな!」
『任せといてよ。』
「俺は本当に良い妹に恵まれたもんだよ。」
と、嬉し泣きをする真似をしていたら、妹にちょっと退かれた目で、見られてしまった。