CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「そしたら!?」
『そしたら見えたんだよ!
チャンスが、このギターを手にライヴで大喝采を受けているビジョンが。』
「だからって、90万円もするギターを、簡単に買って来るなんて……」
『アッ、…チャンス、俺のビジョン観たのか?』
「観ましたよ!
驚きました。
良くあの人も、このギターを手放したなぁ。
価値が有るのを分かっている人なのに。」
『お前が弾いてくれるなら喜んでって言ってくれたよ。』
「あの人、最近離婚したからお金が要りようだった処につけ込みましたね!?
確か別れた女優の奥さんに払う慰謝料が2億円とかって、ニュースで言ってましたから。」
『まぁ俺が助けてやったんだよ。
彼の個人のスタジオから、コンサート用のトレーラー、ビンテージ物のギターを5本、それに彼の住んでいる新宿の豪邸も全部まとめて、俺が2億円で買い取ってあげたよ。』
「エェ~~~ッ!
2億円も使ったの!?」
『彼が困っていたから。
まぁ、離婚した原因は彼の浮気にあるんだけどな!』
「それにしても、良く2億円なんてお金が直ぐに動かせましたね!?」
『スタジオやギターやコンサート用のトレーラーは経費で落とせるから、大した事無いよ。
豪邸は、チャンス、お前達にやるよ。
ソナちゃんと結婚して生活するには、場所的にも良いし、結構庭も広いから、子供が生まれたら、遊ぶには充分だぜ。
今年一杯はあいつが住んでも良いって言ってあるから。
来年になったら、リフォームしてお前達に渡すから。』
「呆れて、開いた口が塞がらないです。
あの豪邸、良くそんな安値で手放しましたね!」
『前の奥さんの慰謝料を、どうしても即金で払いたかったそうだ。
それに、今度浮気相手の女性と再婚するそうだけど、あの家には住みたくないって彼女が言うから、売る決心がついたそうだ。』
「でも、そうしたらあの人は何処に住むんですか!?」
『それは、心配ない。
俺が個人で持っている、世田谷の5LDKのマンションを貸すから。
その代わり、新星MUSICに移籍してもらうがな。』
「うちの所属になるんですか!?
凄いじゃないですか!
あの人がうちに来れば、それだけで年間数億円の興業収入が見込めるじゃないですか!」
『あぁ、そうだな。』