CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
 



「そしたら!?」


『そしたら見えたんだよ!

チャンスが、このギターを手にライヴで大喝采を受けているビジョンが。』


「だからって、90万円もするギターを、簡単に買って来るなんて……」


『アッ、…チャンス、俺のビジョン観たのか?』


「観ましたよ!

驚きました。

良くあの人も、このギターを手放したなぁ。

価値が有るのを分かっている人なのに。」


『お前が弾いてくれるなら喜んでって言ってくれたよ。』


「あの人、最近離婚したからお金が要りようだった処につけ込みましたね!?

確か別れた女優の奥さんに払う慰謝料が2億円とかって、ニュースで言ってましたから。」


『まぁ俺が助けてやったんだよ。

彼の個人のスタジオから、コンサート用のトレーラー、ビンテージ物のギターを5本、それに彼の住んでいる新宿の豪邸も全部まとめて、俺が2億円で買い取ってあげたよ。』


「エェ~~~ッ!

2億円も使ったの!?」


『彼が困っていたから。

まぁ、離婚した原因は彼の浮気にあるんだけどな!』


「それにしても、良く2億円なんてお金が直ぐに動かせましたね!?」


『スタジオやギターやコンサート用のトレーラーは経費で落とせるから、大した事無いよ。

豪邸は、チャンス、お前達にやるよ。

ソナちゃんと結婚して生活するには、場所的にも良いし、結構庭も広いから、子供が生まれたら、遊ぶには充分だぜ。

今年一杯はあいつが住んでも良いって言ってあるから。

来年になったら、リフォームしてお前達に渡すから。』


「呆れて、開いた口が塞がらないです。

あの豪邸、良くそんな安値で手放しましたね!」


『前の奥さんの慰謝料を、どうしても即金で払いたかったそうだ。

それに、今度浮気相手の女性と再婚するそうだけど、あの家には住みたくないって彼女が言うから、売る決心がついたそうだ。』


「でも、そうしたらあの人は何処に住むんですか!?」


『それは、心配ない。

俺が個人で持っている、世田谷の5LDKのマンションを貸すから。

その代わり、新星MUSICに移籍してもらうがな。』


「うちの所属になるんですか!?

凄いじゃないですか!

あの人がうちに来れば、それだけで年間数億円の興業収入が見込めるじゃないですか!」


『あぁ、そうだな。』





< 27 / 371 >

この作品をシェア

pagetop