CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「でも、あの人だったら直ぐに2億円くらい作れるでしょう。
何でアボジが助けたのですか!?」
『最近、あいつがサイドビジネスでやってるステーキハウスやショットバー、それにフレンチのレストランなんかも、結構資金繰りが大変そうなんだ。
手を拡げすぎたから、手元には殆どお金が無いし、銀行の融資も難しいみたいなんだよ。
今回の離婚で、店も何軒か手放すそうだし、うちに5年間だけ契約して在籍するんだよ。
5年後には、また独立させてやる予定だ。
今は、恩を売っておけば、いずれは銭になるから。
だから、2億円なら安い買い物だよ。』
「悪徳商人みたいですね。」
『良く言うな!
本当はな、俺は仙藤晴三を純粋な気持ちで助けたの!
お金は、後から勝手に着いてきただけ。』
「まぁ、そう言うことにしておきましょう。」
『ところでチャンス、力をコントロールするのは巧くいってるかい!?』
「ハイ。
もう殆どマスターしました。」
『じゃあ、もうこの地下室には用が無いな!』
「大丈夫だと思います。
ビジョンも、見たい人だけを観ることが出来ると思います。」
『これは!?』
「この家の権利書です。
ハラボジが、俺にこの家をくれるそうです。」
『じゃあ、俺の姉貴の家族は何処に住むんだよ!』
「それがですね、孝珠(ヒョジュ)や智盛ヒョンニム(ジソン兄さん)は勿論の事、恩貞(ヘジョン)叔母さんや智彦(ジオン)叔父さんも、こんな一軒家じゃなくて、最新式の電化マンションに引っ越したいって言ってましたから、それでハラボジは俺にくれるって言うんだと思いますよ。」
『俺の姉貴から聞いたのか!?』
「いいえ、ハラボジのビジョンがそう言ってました。」
『…………。』
「どうしましょうか?
俺も、この家を貰ったって困るし、売るなら良いけど…、アボジにしてみれば思い出の家だし、ハラボジにしてみても、ハルモニとの思い出が一杯詰まってますからねぇ。」
『とりあえず、俺から親父に返しておくよ。
それで良いな!』
「勿論です。
韓国に来た時だけしか必要無いですし、もし韓国に住むところが必要になれば、自分でなんとかしますから。」
『ホントにお前は自立しているよなぁ。
たまには親に頼ったらどうだ!?』