CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
第2章 Episode-1
不思議な力を身に付け、トレーニングによって、その力を巧くコントロール出来るようになった俺。
その力が、俺をとんでもない事件へと引き摺り込んでいった。
あのあと、アボジ(親父)やハラボジ(お祖父さん)の協力で、色んな事が出来ると分かった。
アッ…、それから権利書の件なんだが、ちゃんとハラボジに返したんだ。
恩貞(ヘジョン)叔母さんは、アボジの2才上の姉貴なんだ。
智彦(ジオン)叔父さんと結婚して、生まれたのが智盛ヒョンニム(ジソン兄さん)と、その妹の孝珠(ヒョジュ)だ!
家族4人で、最新式の電化マンションへの引っ越しは、アボジの一言で駄目になって仕舞った。
アボジが、
『先祖を奉ってあるこの家を離れて、最新式の電化マンション!?
何を考えているんですか姉さん達。
親父を独りにさす積もりですか!?
オンマ(母さん)との思い出が一杯詰まっているこの家を、本当に出たいのですか?
長男の俺が日本に住んでいるから、この家は姉さん家族のものなんですよ。
本当にここに住むのが嫌なら、出ていってくれても良いんですよ!
その代わり、この家はチャンスに譲るって親父は言ってましたから。
チャンスは、この家は要らないって言うか必要無いから、売るかもよ。
そんな事は、俺が生きている間にはさせないが、俺が死んだらこの家も無くなるぜ。
どうする姉さん!?』
まぁ、他人事じゃ無いし、何か俺が悪者みたいな言われ方してるけど、この際良しとして。
そんなアボジの熱い訴えを聞いて、叔母さん家族の引っ越しは無くなり、あの家にずっ~と住む事になった訳だ。
俺は今、6日間の滞在を終えて、独りで飛行機に乗っている。
あの力のおかげで、色んな事が分かるようになった。
力を開放して無くても、人に触れたらその人の感情や思考が流れ込んで来るのだ。
それは、開放している時よりも弱いビジョンだが、気を付けていないと、強い感情や思考が俺に流れ込んで、意識を取り込まれて仕舞うかもしれないそうだ。
その為に、普段は力を完全に封印するために、ハラボジからあるものを渡された。
それは、見たことの無い宝石みたいなのが入った指輪だった。
宝石って言っても、赤や青の様な鮮やかな色の宝石では無く、まるで万華鏡の中を覗いた様な輝きだ。