CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『それじゃあ、専務の奥さん、いつもキーキー言ってるんじゃないのか?』
「ハハハ、正解!
正にそんな具合だから、李 龍河(イ・ヨンハ)も親に内緒で役者になったりって反発してるわけ!」
『そっかぁ自分のプロダクションの抱える役者になったのを、役員である親が知らなかったのか!?』
「父親である専務には話していて了解を得ていたって言ってたけど、お母さんの方は全く知らなかったみたいだよ。」
『何か話聞いてるだけで大変そうだなぁ。
まぁ、お前の会社に成るんだから、頑張って重役をやり込めるだけの力を付けとけよ。
微力だけど、俺も何か出来ることが有ればその時は手を貸すからさ!』
「ありがとうテギル。
ヤッパリあの時お前に会ったのは、俺達の縁(えにし)なんだよな。
テギル、これからもずっと友達だかんな!」
『当たり前だろ。
嫁さん同士も友達になったし、俺達4人は永遠の義兄弟みたいなもんさ。』
「そうだな。
ところで2号店はどうなんだい?」
『1号店をオンマ(母さん)に任せて2号店に俺が入っているんだけど、妻の雪美(ソルミ)の弟の鳳主(ポンジュ)が高校卒業してからプラプラしてたから、一緒にやろうぜって誘ったわけよ。
そしたらあいつ、メチャクチャ才能有るんだよ。
兎に角、教えたことは1回教えたら手順なんか、すぐに把握するし、味付けもそうだけど、盛り付けもかっこ良くてさ、俺が逆に参考にしてるよ。』
「テギルさんって、年下の人が遣ったのでも、良かったら自分が習うなんて、ヤッパリ凄いです。
なかなか自分より下の者の技術なんて認められないって言うか、認めたくないなんてところが有るから!
だから、テギルさんの料理はいつも進化しているんですね。」
『なんか、ソナちゃんに誉められると照れちゃうなぁ~♪』
「テギル、よそ見しないでちゃんと運転に集中してくれよ!
やっとの思いで結婚出来たんだから!」
『まかせとけって!
親父の事も有るからいつも安全運転だよ。』
「チャンスオッパ、テギルさんのアッパ(パパさん)って?」
「こいつが中学卒業して、高校に入学するその数日の間に、交通事故で亡くなったんだ。
だから、テギルは中学までしか学校に行けなかったんだ。」
『悪いけどチャンス、俺お前と出会ってからチャンスのパパさんのすすめも有って、夜間だけど高校通ったんだぜ。
一応高卒よ。
それも首席でな!
俺は遣れば出来る男なのさ♪』
「凄いじゃないかテギル!
俺も、もっと頑張らなくっちゃ!」
『充分頑張っているじゃないか!
無理しすぎるから、この前みたいな事故を起こすんだよ。
あのあと俺もネットワークニュースをパソコンで見たけど、凄い大事故じゃんか!
車大爆発の大炎上って!
良く生きて戻ってきたな。
下手すりゃあの世行きじゃんか!』
「そうなのよテギルさん。
チャンスオッパはね、1度心臓が止まって、もう二度と会えないって思っちゃったんだから!」
あ~ぁあ! ソナがまた思いだし泣きしだしたよ。
『ソナちゃん、これからはこいつに無理させない様にソナちゃんがコントロールしていくんだよ。
頑張れ!』
「ヒック‥‥うん‥‥!」
そして、車は仁川(インチョン)国際空港に到着した。
テギルと別れを告げて、俺達は国内線の搭乗口の方へ向かった。