CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
4. Honeymoon
金浦(キンポ)空港から、この仁川(インチョン)国際空港へ全ての国際線を移動させ、今では 全世界53カ国173都市をつなぐ航空機が就航している。
数年前、外国航空会社専用の搭乗棟(コンコースA)が新設されて、現在はアジア最大級のハブ空港となっているのだ。
それでも、釜山(プサン)と大邱(テグ)、そして済州島(チェジュド)の3ヶ所だけはローカル線が就航しているのだ。
現在の時刻は、午後5時半を少し回ったところ。
大韓航空KE1423は、夜の7時5分発だから、大韓航空のカウンターで予約してあった航空券を受け取り、搭乗手続きを済ませてから、荷物を預けて、俺とソナは空港内のレストランへと向かった。
『ねぇオッパ、済州島には何時に着くの?』
「所要時間が1時間15分だから、午後8時20分だな。」
『じゃあ、もう真っ暗だね。
ホテルは?』
「泊まらないよ。
済州には、うちの保養地も別荘も在るから大丈夫だよ。
今回は、俺達が別荘に泊まるから。
友植(ウシク)兄さんと優珍(ユジン)さんは、保養地の方に泊まって貰うから。
って言っても、隣同士なんだよ。
真ん前にプライベート ビーチも在るから最高だよ。」
『楽しみだね♪
アッ、このレストランに入ろうよ。』
仁川空港の4階には、ウォーカーヒルホテルが運営するレストラン街【ウォーカーヒル】がある。
高級店やカジュアルな感じのお店まで色々だ。
その中でソナが足を止めたのが、
「韓国家庭料理店《ハヌル》。
なんか、妹の店みたい。」
『名前が気に入ったから入ろうよ。』
と言いながら、ソナは既に店内に入っていった。
慌てて俺も後に続いた。
「いらっしゃいませ! こちらのお席にどうぞ!」
案内されたのは窓際の席だ。
窓の下には出国フロアが見渡せた。
『俺は、海鮮キムチチヂミとスンデゥブのセットを!』
「私は、大根の葉入りカルビタンを下さい。」
食事をしながら、とりとめのない話をして、食後のデザートを食べ終わった頃、フライト30分前になった。
おあいそを済ませて俺達は出国ゲートへと向かった。
機内に入り搭乗券を見せたら、ファーストクラスの席へと案内された。
お腹がふくれた俺達は、座席に座ると直ぐにアクビをしはじめ、結婚式の疲れもあって、気が付けばいつの間にか眠っていて、目が覚めたのは着陸間近の済州島上空であった。