CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
元XYZのドラマーのケントこと白井拳斗と、婚約者の吉田光ちゃんが、仲良く手を繋いで遣ってきた。
『みんな~、元気にしてた?
俺は~、皆に会えなくて寂しかったぞ~!』
『こんにちは皆さん。
御無沙汰しております。
ケントさん、これを皆に!』
『おっと、そうだった。
これ、ヒカルちゃんが作ったソナちゃんへのバースディケーキだよ。
チャンスが生クリームが苦手だって言ったから、レアチーズケーキにしたんだってよ。
生クリームが欲しい人は、こちらに色々と沢山のカップケーキがあるからね。
ぜ~んぶヒカルちゃんの手作りだからね。』
「凄い凄い!
ヒカルさん、色んな種類のケーキ、どれも美味しそう!
これは何ですか?」
『これは、スポンジ生地にキャラメルを混ぜて、薄く拡げて焼いて、小さく刻んだ色々なドライフルーツを混ぜた生クリームを塗って、ロール状に巻いたロールケーキにパウダースノーシュガーを振りかけたものよ。』
「この生クリームがなけりゃ俺も食えるのになぁ。」
『チャンスさん、レアチーズケーキの他にも、ケントさんのお父様から教えていただいたアップルパイとか、洋梨のタルトも有りますのでどうぞ。』
「ヒカルちゃん、もう一人前のパティシエだな!」
『まだまだ修行中です。』
「こっちの包みはなんなのら?」
『ジョージはだめ!
ソナちゃん、開けても良いよ。
俺からのプレゼントだよ。
気に入ると思うよ。』
「ケントさん、有り難うございます。
うわぁ~、これも凄いです。
巨大なローストビーフと、ローストチキンだぁ!」
『俺のオリジナルのハーブの組み合わせでね、下味は、なんとゴールドのラム酒を使っているんだよ。』
「この微かに香る香りは、…………もしかしてコチュジャン入ってる!?」
『さすがチャンス、鋭いなぁ!
少ししか入れてないのに、良くわかったな!?』
「唐辛子の焼けた香ばしい匂いが微かにしたから、ひょっとしてと思ってじっくりみたら、通常のローストチキンよりも赤みが有るからコチュジャンなのかなぁって思ったんだ。」
『韓国料理とフランス料理の融合だよ。
最初、試しに作ったら案外旨かったので、コチュジャンに合うハーブを探してお腹ん中に一緒に詰めて、ついでに表面にも少量塗ったんだ。』
「ケントは、ほんとに色々と料理を考えて、新しい味を作り出すのが上手いなぁ。
ソナ、美味しいからってあんまり食べ過ぎるなよ。
夜になって、しんどくなるからな。」
『ソナちゃん、お腹大きくなったなぁ~♪
予定日は何時なの!?』
「一応、予定日は5月5日なんです。」
『ケントさん、私達も早く結婚して子供が欲しいわ!』
「ヒカルちゃん、もう少し待ってくれ。
来年の春にはと、考えているんだ。
今は、少しでもヒカルちゃんが集中して料理に取り組めるようにしておきたいからね。
今年の冬には、ホテルリッツ・カールトン主催のパティシエ大会が有るし、正月明け早々には、フランスに2週間行かなきゃでしょう!
それが終わってからにしようね。
俺も、その間に新しい創作フランス料理を研究するから。」
『分かりましたケントさん。
ところでチャンスさん、空ちゃんは?』
「妹は、今KYUと一緒に韓国に行ってるんだ。
去年のクリスマスイブに、ファンの前で交際宣言したんだけど、そしたら韓国サイドから出演のオーファーが殺到して、二人で向こうのメディアに出まくってるよ。」