CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
1週間ぶりに、白金台の実家に家族で遣ってきた。
ここには、妹の荷娜(ハヌル)ことソラ(通称名)と、夫の朴 需(パク・ユ)ことアーティストのKYUが、娘と韓国から遣ってきたハラボジ(お祖父様)との四人で生活をしているのだ。
KYUとソラの娘は、うちの長女の寿雅(スア)と同じ小学一年生だ。
名前は朴 凛荷(パク・リナ)だ。
『お兄ちゃん、ソナ、いらっしゃい!』
「ソラさん、何度言ったら分かるのかしら!?
私は貴方のお兄様の嫁で、同じ年でも姉に当たるんですから、御姉様と呼びなさい。
腹違いでも、一応貴女はうちの主人の妹なんですから、わたくしも妹として扱っているんですからね!ビジッパシッ!」
『痛いわ御義姉様、お許しになって!
これからは気を付けますから!
ぶたないで!』
「コラコラ、また二人でいい年してサランエミロ(愛の迷路)ごっこして!」
『ヨボ!(あなた!)、いい年してってひどいわ!』
『そうよ、お兄様。
兎に角、あのドラマ面白いんだから!
けっこうドロドロした復讐劇かと思ったら、素敵なラブストーリーはあるし、アクションはあるし、若手のイケメングループも出てるし、韓国では、サラミロ現象が起きるくらい凄いんだから!』
「分かった分かった!
分かったから、アボジ(親父)達をよんでおいで。」
『は~い!』
「KYU、元気そうだな!
ワンマンライブツアー成功おめでとう。
全会場オール黒字だったよ。
しかし、最近声のキーを変えてるね。」
『はい。
若い頃に比べて1音だけですが、キーが下がっています。』
「それでも1音かぁ~、大したもんだ。
ボイトレはちゃんとやってるんだな!?」
『それはもう、岩城統轄マネージャーは厳しいですからね。』
「まさかの現場マネージャーから、たったの10年で統轄マネージャーだからな!
あいつは、仕事が出来るからな。」
『それもこれも、桧山部長の指導のお陰ですね!』
「あそこの双子の娘達、今年からもう中学生なんだって。」
『あ、ヒョン(アニキ)、降りてきましたよ。』
「アボジ(親父)、オムニ(お袋)、ハラボジ(お祖父様)、こんにちは。
はい、これ韓国サイドの決裁書。
けさ、バイク便で届いてたんですが、会長のサインがいるもんで、ついでに持って来ました。」
『分かった。後で目を通してからサインしておくよ。』
「有り難うございます。
ところで、今回はいつまで日本に居られるのですか?」
『今回は、明後日までだよ。』
「あっという間ですね。
今回の用向きは何なんですか!?」