CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
XYZの冠番組に、期待と不安を抱きながらも、再来週からの収録が待ち遠しい。
打ち合わせが終わってからは、仕事も無いので、みんな彼女に電話して約束を取り付けていた。
俺もソナに電話しようと小会議室を出て、自分専用の部屋に向かっていた。
『チャンスさん!
こんにちは!』
「竹中早紀さん!
こんにちは!
今日はどうしたんですか?
もうすぐ殺陣の稽古の時間ですよ!」
『ハイ。
マネージャーを待っているんです。
桧山マネージャーの命令で、タレントとマネージャーは常に一緒に行動しないといけないそうです。』
「で、浅田マネージャーは今どこに行ったんだい?」
『今、社の車のキーを取りに行ってます。
営業部のデスクの上に、置き忘れたからって。』
「そっかぁ。
頑張るんだぞ。
これは、チャンスなんだから、教えられた事は必ず自分自身のものにして、立派な女優を目指してくださいね。」
『有り難うございます。
チャンスさん!
今度、食事に連れて行ってくださいね。』
「女優デビューしたら、その時はお祝いに美味しいお店に連れて行ってあげるよ。
まぁ、XYZのメンバー全員付いて来るけどね!」
『え~ッ!
二人っきりじゃ無いのですか?
私、チャンスさんと二人っきりが良いなぁ!』
「それは駄目です。
俺は、疑われる行動はしない主義だから。
貴女にとってもマイナスになるでしょう。
これから女優として頑張っていくつもりなら、貴女も自分の行動には気を付けてくださいね。
今は、新星MUSICのタレントとして契約していますが、節度の無い行動をされると、こちらとしても解雇せざるを得ないですから。
その代わり、一生懸命に頑張ってくれてたら、会社が全面的にバックアップして、貴方を大女優の道に乗せてあげますから。
貴女なら、モデルとしての可能性もあるし、グラビアアイドルからモデル、そして女優と言う流れで売り出していっても、遅くは無いと思ってるよ。
でも、今回はちょっと考えがあるんで、一度ドラマを経験して貰います。」
『考えって?』
「それは、今は言えません。
ただ、貴女にプラスになるとだけは言っておきます。」
『分かりました。
頑張っていきます。』
「宜しく!
マネージャーが来ましたよ。」