CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
俺は、てっきり新星MUSIC本社に行くのかと思っていたが、到着したのはハラボジ(お祖父さん)のところだった。
『おぉチャンス、よう来たのぉ!
まぁ、こっちきて座りなさい。
ジソン、ご苦労様!
もう会社に戻って良いぞ!』
「ヒョン、もう行っちゃうのですか!?」
『あぁ!
俺は、チャンスをここに連れていく様に言われただけだから。
じゃあ、ハラボジ失礼します。』
「ヒョン、どうも有りがとうございました。」
ジソンヒョンは、ハラボジに礼をして帰って行った。
そして、ハラボジはこちらに向き直り、
『チャンスや!
お前も明後日で20才じゃな!』
「ハイ、ハラボジ。」
『今から話す事を、しっかり聞いて、良~く胆に銘じておいてくれ。』
「今から話す事って?
大事な話ですね。」
『あぁ!
お前の将来に関わる事だ。』
何か、いつものハラボジじゃ無いみたいだよ。
真剣な顔が、俺の背筋をシャンとさせる。
「分かりました。
お話の続きを!」
『最近、何か変わった事は起きなかったかい!?』
「‥‥‥‥。
そういえば……、何か変な感覚って言うか…、見えるんです!
って言っても理解出来ないですよね。」
『やはりな!
見えないはずの感情や過去の映像が、見えたりするんじゃろう!?』
「ハラボジ!
どうして…それを?」
『まあまあ慌てなさんな!
先ずは、我が家の歴史から話さにゃならんからのぉ!
高家は代々、祭司の家系でのぉ。
歴代の国王に仕え、陰で政治的に国を動かしたりしていたんじゃよ。
それ以前のルーツまでは、はっきりわかっていないんじゃが、一番古い家系図には、高句麗の19代国王に仕え、永楽の時代にはわしらの祖先は、間違いなく活躍していたとなっておる。
広開土王の在位、391年から412年の21年間、国王は出兵のタイミングから、農繁期の作業に至るまでの殆どを先祖の祭司に相談していたそうだ。
その頃までの、先祖の姓は金を名乗っていたと記されていたが、広開土王から《高》の姓を名乗ることを許されたとも記されておる。
いかに、重要な位置に居たかが伺われるじゃろう。
なんせ、その時代に《高》の姓を名乗れるのは、王族だけじゃからな。』
「そこまでの歴史的流れは分かりました。」