CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『その後のご先祖は、苦難の日々を送ったと記されておる。
高句麗の最後の宝蔵王(ポジャンワン)を最後に、王と共に唐に渡り、王の死後は長安で占い師を生業として、細々と暮らしていたそうだ。
我々の家系は、代々長男だけに不思議な力が備わるのだよ。
その理由までは分からないが、わしもお前の父親にもその力がある。』
「ホントですか!?」
『そうじゃ。
その力は、それぞれ違うが、150年毎に凄い力を持った子供が生まれているそうだ。
ワシのひぃじいさんも、李王朝時代には、皇帝の高宗に仕え、最高位の正一品を貰っていたそうだ。』
「凄いですね!
じゃあ、府院君(プウォングン)並の位だった訳ですね。」
*府院君(プウォングン)とは、王妃の父親の事をさす。ようするに、王様の義父の位と同等というのだから、かなり高い地位を承っていたのだ。
『そう言う事じゃ。
そのワシのひぃじいさんが生まれたのは、チャンスが生まれた年の150年前じゃよ。』
「って言う事は、俺にも凄い力が有るって事ですか!?」
『そうじゃよ。』
「ハラボジのひぃじいさんには、一体どんな力が有ったんですか?」
『ワシもじいさんから聞いた話しか分からんが、人を見ただけで、その人の過去の出来事から、未来に起きる事までが見えてたそうだ。
また、物に触れただけで、その物体の持つ過去の記憶が見えてたそうだ。
そういったものを、ワシ等はビジョンって呼んでいる。』
「アボジが、たまにビジョンが見えるから会社が成功したって言ってたけど、それって、会社のあり方や進む道への方向性とかじゃ無くて、本物のビジョンが見えていた訳ですね。」
『そう言う事じゃな。
お前の母さんを見た時にも、ビジョンが見えていたそうだよ。
そして、この力が目覚めるのが20才の誕生日なんじゃよ。』
「アボジの力って凄いんですか!?」
『賢主(ヒョンジュ)か!
あいつの力は、未来が少しだけ見える程度じゃ。
それでも、4~5年先くらいは見透せるぞ。
だが、あいつの力ははっきり見透せる訳じゃ無いんじゃ。
断片的に見える程度じゃから、後はビジョンに自分の考えを加え、判断しているんじゃよ!』
「ハラボジは!?」
『ワシか!
ワシは、過去の出来事はかなり見えるぞ。
未来は5年くらい先まで、はっきり見透せるぞ。』
「凄いですね。」
『チャンスだったら、多分封筒の中身まで見えるかもな!
はははは!』
「まさかぁ!」