CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
『大丈夫だよ!
内緒でも、オッパさえ隣に居てくれたら、私はそれで良いよ!』
「そうだな!
それから、レディースバンドの話は知ってるだろ!?
これから、本当に忙しく成るけど、我慢してくれるな!?」
『心配無いって!
私は大丈夫。』
とは言え、ヤッパリ普通の恋人同士の様にはいかない。
せめて、彼女が高校を卒業するまでは秘密にしておかなければならないだろうなぁ。
俺は、ギュッとソナを抱きしめて、愛おしい彼女の唇にキスをした。
ソナも、それに答えるかの様にきつく抱きしめかえしてきた。
その腕の強さが、彼女の不安の表れなんだろう!
翌日から、新曲の練習も始まり、余計に忙しくなり、ソナと会えない日が続く。
そして、韓国から遣って来る5人の新人レディースバンド。
俺達XYZと桧山マネージャーは、2台の車で成田空港へ向かった。
夕方過ぎの蒸し暑い駐車場を抜け出し、空港内に入ると冷房が心地良い。
到着まで、まだだいぶある。
俺達は、空港内に在る喫茶店に入り、コーヒーを飲みながら時間を潰していた。
その時、後ろから
『ハンカチのお兄ちゃん!』
と言う声が聞こえて来た。
振り返ると、そこには以前空港で迷子になって泣いていた女の子が手を振っている。
「え~っと、確かミヤビちゃんだったよね!?」
『そうだよ!
あれからテレビでお兄ちゃんを見つけてビックリしたんだから!
カッコいいから、直ぐに分かったよ!
また会えてミヤビ嬉しい!』
「ママは?」
『ほら、あそこに座ってるよ。』
俺は、ミヤビちゃんの母親の方に向いて、軽く一礼してからミヤビちゃんに、
「今日は、どこに行くの?」
『これからね、飛行機に乗ってパパに会いに行くの。』
「そうなんだ。
もう迷子にならないようにね!」
『うん!
アッ、お歌を歌ってるお兄ちゃんもいた。
ミヤビねぇ、お兄ちゃんのお歌ダイスキだよ!』
「キュー君って言うんだよ!」