CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
「地下室…ですか?」
『そうじゃ。
そこで、先ずは心を落ち着かせて、精神統一させるのじゃ。
無になれとは言わんが、自分の体内の気をコントロール出来るようになってもらいたい。
その後、何が出来るのかを見極めて、見えたり聴こえたりする事を、意識的に遮断したり、ワシやお前のアボジ(親父)のビジョンを読み取ったりするトレーニングをして貰う。
次に、物体からの記憶の読み取りや、紙に書いてある物を読み取って貰う。
そこまでいけば、次は思考の読み取りをやって貰う。
それが出来れば、次は物体を手を使わずに移動出来るかもやってみるつもりじゃよ。
これは、ワシの得意分野でのぉ。
かなりの難易度じゃが、何故かワシは出来たんじゃよ!』
「やって見せて下さいよ。」
『見せ物じゃ無いからのぉ。
まぁ、良いわ!
例えば、このチェットリー(灰皿)を良~く見とれよ!』
と言って、テーブルの上に有る灰皿を、手も使わずに右端から左端へ移動させた。
「す…凄い!」
『お前は150年目に生まれてきたから、もっと凄い事をやれるやもしれんぞ!』
「出来たら凄く嬉しいんだけど!」
『何故じゃ!?』
「楽できるでしょ!」
『遊び半分で能力を使ってはいかん。
後悔してしまう事になるやもしれんからの!』
「すみませんでした。」
『とにかく、明日の夜は11時半くらいには、地下室に入って貰うから、今からその準備をして貰う。
地下室には、料理するとこも有るし、風呂もトイレも在るから、1週間くらいは籠って貰う。
食料も、随時補給してやるからの!
先ずは、着替えや身の回りで必要な物を地下室に移動させときなさい。』
「ハイ。
分かりました。」
『それから、この力を得た者は、代々その記録を書き記してきた。
チャンス、お前もそれを引き継いでいって貰うからの。』
「記録ですか。」
『そうじゃ。
しかし、それは絶対に人の目に触れてはならんからの。
だから、秘密の扉を作った金庫を特注しなさい。
それも、耐火度の優れた金庫をな!
パソコンなんかで、データを残す様なヘマはするなよ。
必ず手書きで、お前の生年月日から名前、能力の種類、どんな事に使用したかまで書くのじゃ。』
「分かりました。
それでは、準備してきます。」