CHANCE 2 (後編) =Turbulence=




『どうして韓国に帰らなかったんだよ?』


「韓国に戻って活動を再開したら、お前を産むために日本に隠れていたなんて中傷されて、お前に嫌な思いをさせてしまうかもしれないって思っての事だよ!」


『勝手な憶測だよ!』


「あの当時、お前の両親はまだ結婚して無かったし、お前の親父さんには、親の決めた婚約者がいたらしいからな!」


『嘘だ!』


「だったら、直接聞いてみな!って言ったじゃん!!」


『だったら、どうして俺の親は、俺に冷たく当たるんだ!?

そんな思いまでして結婚して。

俺が出来たのが失敗だった!

俺の存在が歌手活動の邪魔だったって言う事か!?』


「そんな訳無いだろう!」


俺は、もう一度封印の指輪を外して、DJ-Cの過去を探った。


そしたら、ハッキリと見えてきた真実を、目の前で苛立っているDJ-Cに聞かせてやる事にした。


「元々、お前のお袋さんは、日本でデビューなんてするつもり無かったんだよ!」


『エッ!?』


「駆け落ちして来たんだよ。

親父さんの両親は、厳しい人で、芸能界に携わっているってだけで快く思って無かったし、親の決めた婚約者と早く結婚して、親の会社の後も継いで欲しかったそうだよ。

でも、親父さんは、ハンヨナの事を愛していたし、生まれて来たお前の事も愛おしく思っていたんだ。

だから、お袋さんとも別れたく無いし、お前を手放したくも無かったから、韓国には帰らなかったんだよ。

だけども、ヤッパリ人間だから、虫の居所が悪い時だってあるさ!

息子のお前に辛く当たる事も有ったかもしれない。

しかし、いつも冷たくされてた訳じゃ無いだろうが!?」


『………………………』


「お前の両親は、お前に苦労した生活をさせたく無かったから、一生懸命働いて、親父さんと二人の稼ぎを併せて、今の歌謡教室を始めたんだよ。

元々、唄う事が大好きだったお袋さんは、生徒さんに歌を教えていると、楽しくて仕方がなかったから、ついついお前の事に構ってあげられ無かっただけで、お前の事を疎ましく思った事なんて無かったんだよ!」


『俺は、そんな事信じ無い!』

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