狂気と良気
「あのさ、一つ聞いていい?」
翔子が私達を呼んだ。

「どうしたの?」
私は、疑問に思って翔子に訪ねる。

「みんな、臭わなかったの?あんなに近くにいたのに…。」

「何の事だよ?」
祐馬が少し怒った声で言う。

「あの、おばぁさんが来てる赤い着物から…異臭がしてたのよ。なんて言うんだろう?血が腐った匂いっていうのかな…。それに…」
そこまで言った時だった

バリバリ…
古びたスピーカーのようなものから、声がする。

バリバリ…
「私達は、聞いている。見ている。口に出してはならない。裏切り行為は自分の身を滅ぼす。あいつらのように…」
バリバリ、バリバリ…。

「もうこの話止めようか…。」
私は、震える翔子の手を強く握った。
そして、携帯メールで亮太に送る。

ピリピリ。
亮太が画面を見つめていた。

私達は、もう後戻りなど出来ない。
やらなければ、誰かが…きっと…。
< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop