狂気と良気
「あの、あの…。ジージー」
ノイズ混じりの電話。
「もしもし…もしもし?」何か話そうとしてるが、音が悪すぎる。
私は、右耳をふさぎ電話に集中した。

すると、ノイズの中男の声が聞こえてくる。

「あの…私は、大和北町のものです。ジー。この事を口に出すと私は、殺されます。ザッザッザ。それでも、調べて欲しいジジジ…。今年二十歳になった私の息子の体に何が起きているのかを…。この街は、狂っている。ジージージージー。狂気に支配されてしまう前に良気を失う前に…。ジー息子を助けて欲しい。ジー」
私は、ただならぬ男の声に録音機のスイッチを入れた。
男は、私を気にせず話を続ける。
誰かに聞こえないように小さな小さな声で…。
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