不思議な奴。




そりゃ俺はアイツに寝癖あっても気にしないけど。


それが原因で他の男から話しかけられるなら、直してほしいと思ってしまう。


「あ、たっくん。おはよ。」


「ん、はよ。」



アイツからの毎日の挨拶は嬉しい。……けど他の男に向ける笑顔と一緒だと思うと素直に喜べない俺がいる。



ちっせえ男だなー、俺。



「てか、水野だって寝癖ついてるじゃん。」


嫌でもアイツの声が聞こえる。



「お前、馬鹿だな。これはワックスだから寝癖じゃないの。」


「ふーん??」


「聞いといてなんだその反応はー。おりゃ!」


俺の前でなつと話すな。


「ぎゃう!もっと寝癖ついちゃうじゃん!!」


俺の前でなつに触るな。


「いーじゃん。俺とお揃い!」


アイツと一緒にいる、髪の毛を触る水野がムカつくけど。


それを見てて何も言えない自分にもムカつくけど。


それ以上に髪の毛を触られてて笑顔でいるアイツが。




ムカつく。





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