ぼくのいないナツ
波乱のナツ
校内は人もまばらだ。
夏休みの大学だ。みんな遊びにでもいっているのだろう。
ぼくは1ヶ月住み込みのアルバイトから帰ってきて、大学の研究室に向かっていた。
久しぶりの大学だ。お土産もあるし誰かいればいいな、なんて浮かれた気持ちで研究室のドアを開けた。
「お疲れさまでーす」
中には女の子が1人机に向かっていた。
「あ、佐藤さん」
佐藤ナツコ、ぼくの彼女だ。
「久しぶり。元気だった?」
ぼくは照れを隠して話しかけた。
「あ……はい」
ナツは困ったような顔をしていた。
「レポートやってんの?」
「はい……」
「なんでそんな他人行儀?」
「……ごめんなさい、どちらさまですか」
真剣な顔でナツが訊いた。思わず笑ってしまった。
「そんな冗談いう人だったっけ?」
「……本当にごめんなさい、OBのかたですか?」
ナツのその表情は初めて会ったときの警戒している顔と全く一緒で、ぼくは冗談でいっているのではないと理解した。
「……橋本晃だよ、同じ学科同じ研究室同じ学年」
「……ハシモトアキラ…さん」
眉間に皺をよせ、考えている。
「……佐藤さんの……その、いわゆる彼氏なんだけど……」
「え!」
夏休みの大学だ。みんな遊びにでもいっているのだろう。
ぼくは1ヶ月住み込みのアルバイトから帰ってきて、大学の研究室に向かっていた。
久しぶりの大学だ。お土産もあるし誰かいればいいな、なんて浮かれた気持ちで研究室のドアを開けた。
「お疲れさまでーす」
中には女の子が1人机に向かっていた。
「あ、佐藤さん」
佐藤ナツコ、ぼくの彼女だ。
「久しぶり。元気だった?」
ぼくは照れを隠して話しかけた。
「あ……はい」
ナツは困ったような顔をしていた。
「レポートやってんの?」
「はい……」
「なんでそんな他人行儀?」
「……ごめんなさい、どちらさまですか」
真剣な顔でナツが訊いた。思わず笑ってしまった。
「そんな冗談いう人だったっけ?」
「……本当にごめんなさい、OBのかたですか?」
ナツのその表情は初めて会ったときの警戒している顔と全く一緒で、ぼくは冗談でいっているのではないと理解した。
「……橋本晃だよ、同じ学科同じ研究室同じ学年」
「……ハシモトアキラ…さん」
眉間に皺をよせ、考えている。
「……佐藤さんの……その、いわゆる彼氏なんだけど……」
「え!」