Four Tethers〜絆〜
「沙織ちゃん?」
考え込んでいる沙織に、悠は声をかけた。
「大丈夫?」
「うん、平気…」
「あまり寝てないなら、奥で休んでていいんだよ。お客さんも来ないし、あいつらはあんなだし」
ちらりと向けた視線の先には、綾と諒が真剣な顔ではさみ将棋を始めている。
それを見て、沙織はくすっと笑った。
大丈夫よ、ともう一度答えて、沙織は心から思う。
こんなに平穏で、こんなに楽しい時間を失うなんて、絶対に嫌だ。
誰にも、自分が手に入れたこの幸せを壊させない。
もしそれを脅かす人間がいるのなら、全力で守ってみせる。
――どんなことをしてでも。
☆☆☆
「なぁ、諒」
店の入り口近くのテーブル席で、綾は将棋の駒を打ちながら聞いた。
「ん?」
「人間がこの世界乗っ取って、それからどーするんだろうな」
「…さぁな…」
諒は言って、次の手を打つ。
「もしかして、あたしも頑張れば、地球の支配者になれるかなぁ♪」
「無理だろ。お前弱いから」
普通にそう言い切る諒。
「なぁんだよ〜それ。あたしだってちゃんと」
「力じゃねぇよ。お前の弱さは、俺達がよく知ってる」
その諒の言葉に、綾はげっそりした表情を浮かべた。
「…保護者か、あんたらは」
「似たようなもんだろ」
交互に将棋を打ちながら、二人は会話を続けていた。
外は雨が降りそうで、目の前の道にも人通りは少ない。
店の中も、静かなクラシックの音楽が流れているだけ。
「でもさ」
テーブルに頬杖をついて、綾は言う。
「人間は弱いよ。だから、誰かと支え合って生きていくんだ」
諒はそんな綾の言葉を、黙って聞いていた。
「はっきり言ってさぁ、この世界のことなんてどうでもいいんだけどね〜」
綾は、カウンターの奥の席で悠と話をしている沙織に、ちらりと視線を送る。
「また、あたしの大事なものを奪おうとするヤツがいたら、あたしはそいつを許さない」
少し、いい傾向なのかも知れないな。
その言葉を聞いて、諒は思う。
綾は家族を失ってから、ずっと1人だった。
自分達と出会ってからは、その反動なのか、綾は依存に近い形で自分達と接してきた。
考え込んでいる沙織に、悠は声をかけた。
「大丈夫?」
「うん、平気…」
「あまり寝てないなら、奥で休んでていいんだよ。お客さんも来ないし、あいつらはあんなだし」
ちらりと向けた視線の先には、綾と諒が真剣な顔ではさみ将棋を始めている。
それを見て、沙織はくすっと笑った。
大丈夫よ、ともう一度答えて、沙織は心から思う。
こんなに平穏で、こんなに楽しい時間を失うなんて、絶対に嫌だ。
誰にも、自分が手に入れたこの幸せを壊させない。
もしそれを脅かす人間がいるのなら、全力で守ってみせる。
――どんなことをしてでも。
☆☆☆
「なぁ、諒」
店の入り口近くのテーブル席で、綾は将棋の駒を打ちながら聞いた。
「ん?」
「人間がこの世界乗っ取って、それからどーするんだろうな」
「…さぁな…」
諒は言って、次の手を打つ。
「もしかして、あたしも頑張れば、地球の支配者になれるかなぁ♪」
「無理だろ。お前弱いから」
普通にそう言い切る諒。
「なぁんだよ〜それ。あたしだってちゃんと」
「力じゃねぇよ。お前の弱さは、俺達がよく知ってる」
その諒の言葉に、綾はげっそりした表情を浮かべた。
「…保護者か、あんたらは」
「似たようなもんだろ」
交互に将棋を打ちながら、二人は会話を続けていた。
外は雨が降りそうで、目の前の道にも人通りは少ない。
店の中も、静かなクラシックの音楽が流れているだけ。
「でもさ」
テーブルに頬杖をついて、綾は言う。
「人間は弱いよ。だから、誰かと支え合って生きていくんだ」
諒はそんな綾の言葉を、黙って聞いていた。
「はっきり言ってさぁ、この世界のことなんてどうでもいいんだけどね〜」
綾は、カウンターの奥の席で悠と話をしている沙織に、ちらりと視線を送る。
「また、あたしの大事なものを奪おうとするヤツがいたら、あたしはそいつを許さない」
少し、いい傾向なのかも知れないな。
その言葉を聞いて、諒は思う。
綾は家族を失ってから、ずっと1人だった。
自分達と出会ってからは、その反動なのか、綾は依存に近い形で自分達と接してきた。