Four Tethers〜絆〜
 だが沙織と出会ってから、そんな綾の態度も、少しずつ変わってきたような気がする。
 この喫茶店にやってきたお客さんと笑いながら話をするなんてことも、昔の綾から比べれば考えられないことだった。
 …保護者としては、少し寂しくもあるが。

(保護者じゃねぇけどな…)

 そんなことを考えて、諒は、思わず笑う。

「何だよ諒、ニヤニヤして」
「…いや」
「変なの」

 勝負は、諒のほうが押されぎみだった。

「どうする? 降参してもいいよ」

 勝ち誇った顔で言う綾。

「…絶対しない」

 将棋盤を睨み付けて、諒は腕組みをする。
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