Four Tethers〜絆〜
 この二日間、悠や諒には何も相談を持ちかけてはいない。
 答えは、自分で見付けなければならないってことも、分かっている。
 明日になれば、沙織の返事を聞いた上で一樹は何か仕掛けてくるに違いない。
 一樹の手助けをするつもりなんて微塵もないが、このままだと綾達は…。

「こんな力、いらない…」

 クッションに顔をうずめる。
 綾や悠、諒と出会ってから、もうすぐ半年になろうとしていた。
 その間、色々な信じられないようなことが起きて…危険な目にも遭ったけど…とても。

(楽しかった…)

 自分の目に見えていることだけが、真実じゃないことも分かった。

『沙織は沙織だよ』

 ふと、綾が言った言葉を思い出す。

「自分は、自分…他の誰でもない」

 声に出して、言ってみる。

「でも、みんな、いる…」

 いつだって、みんなは一緒にいてくれた。
 ――そして今も。
 特に綾は大変だったろうと思う。
 慰めでも励ましでも、何でもいいから言葉をかけたかったに違いない。

「会えて、よかった…」

 沙織は心から、そう思った。
< 129 / 156 >

この作品をシェア

pagetop