Four Tethers〜絆〜
 だが、人間ではない。
 悠達と同じ存在。

「…同族なら、容赦しねェ」

 両手の指をポキポキ鳴らして、諒は言った。

☆☆☆

 次々と飛んでくる鉄骨を避けながら、綾は少しずつ間合いを詰めていった。

「イタズラはそこらへんまでにしとけよっ!」

 隙を狙って攻撃する。
 だが鉄骨が盾になり、相手まで届かない。

「チッ」

 綾は舌打ちした。

「大したことないんだね、オバサン」
「なぁにぃ〜!」
「その程度の力で、よく今まで生きてこれたねって言ってるの」
「…なっ…!」

 美紀の言葉に、愕然とする綾。
 今度は避けきれず、鉄骨が肩を擦った。

「お前に…そんなこと言われる筋合いはないっ!」

 地面に膝をつきながら、綾は言った。

「何であんなヤツなんかに協力するんだよ!?」
「…力があるから、よ」

 綾の問いかけに、美紀は躊躇いもなくそう答える。

「この力を隠さずに、自分の好きなように生きていける世界を作る…あの人はそう言った!」

(あぁ…こいつもなんだ…)

 肩を押さえて立ち上がりながら、綾は思った。
 同じ年頃の時、毎日そんなことを考えていた。
 何で他の人間よりも強い力を持っているのに、コソコソ隠れなくちゃいけないのか。
 何故自分だけが。
 ――それは、能力を隠さないと、みんなに化け物扱いされるから。
 …誰も、相手にしてくれないから。

「その為には、あんた達が邪魔なんだってさ!」

 また攻撃される。
 それは断続的に続いていて、避けるのが精一杯だ。
 攻撃の為に間合いを詰めることさえ出来ない。
 美紀の気持ちは、痛い程よく分かる。
 だけど今は、話を聞いてくれるような状態ではない。

(どうしたら、分かってくれるんだよ…)

 綾は、美紀から一旦離れて間合いを取り、荒くなった息を整えた。

☆☆☆

 悠と諒は、もう一人の敵と戦っていた。
 だが二人がかりなのに、相手に傷一つつけることも出来ないでいた。
 いい加減息があがってくる。
 それにしても、敵の、使っても使っても沸いてくるような力は、何なのだろう?
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