Four Tethers〜絆〜
「は…ははっ」

 笑ってごまかす綾。

「もう、どうにもこうにも…」

 苦笑する綾と悠の間に、また敵が攻撃を仕掛けてきた。
 二人は跳躍でそれを避ける。

「ここでいつまでも手間取っている訳にもいかないんだがな」

 悠が言った。

「どうすんだよ?」
「長期戦は不利になるだけだ。早く決着をつけないと」
「あの子は…美紀はあたしが説得する」

 綾は上を見上げた。
 心に同じ傷を持つ彼女に、何としても考え直して欲しかった。
 また相手の攻撃をかわす。そこへ、諒が仕掛ける。

「考えてる暇ねェだろ!」
「あ、ごめん、諒。加勢する」

 綾は、諒の元へ急いだ。
 男は攻撃の手を休めることはない。
 悠はふと、上を見た。
 美紀が、こちらを見おろして、大きく両手を天にかざしている。
 その両手の先端に、一際大きな気が集まっていくのを、悠は見た。

「諒! 綾! 避けろっ!」

 悠が叫んだ。
 咄嗟に、綾と諒はその場を飛びのく。
 次の瞬間、雷のような閃光が轟音とともに辺りを包む。

「うっひゃ〜!」
「こんな力を持ってるのか…!」

 呆然と、諒が言った。
 だが悠はあることに気がつく。
 あの力…一瞬ため込んだ時、気の流れがある一方向から集中しているのが見えた。

「あっちは…」

 小さな灯台がある岬の方角。

「…足止め、失敗だな」

 悠はにやりと笑う。
 諒と綾は戦いに集中していて、今はとても自分の考えを伝えている暇はなさそうだった。

(仕方がない…)

 ここはこのまま、あの気の流れてきた灯台まで行ってみるしかない。
 そして、悠は気付かれないように、灯台に向かって走りだした。
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