Four Tethers〜絆〜
 女はにやりと笑う。

「そうだ…だがその力は、まだ未完成…」

 そこまで聞いて、悠は、あることに気付いた。

「まさか…一樹を使って無理矢理能力を開花させようと?」

 女は、ただ笑うだけだった。
 強力な能力者の近くにいると、眠っていた力が目覚めることがある。
 だがどうやって強制的に…?
 そこまで考えて、悠は一樹の能力を思い出す。
 一樹も、沙織と同じ能力の持ち主だとすれば。
 しかも、あれほど強力な結界を作り出すことが出来る力を、一樹は持っている。
 だが何故、そこまでして沙織が必要なのか。
 それほどまでに強い力だとでもいうのか。
 この気の流れ方からして、沙織があの灯台にいるのは間違いないようだ。

「軽く通してくれそうもないな…」

 悠は身構えた。
 攻撃はあまり得意分野じゃない。
 なんとか振り切ることが出来れば。
 ――沙織さえ、取り戻すことが出来れば。
 せめてこの女が身動き出来なくなるように、結界でも張ることが出来れば…!
 だが、悠が動くより一瞬早く、女が動いた。
 その手から閃光が幾重にも重なって矢のように飛んで来た。
 悠は何とか防御でしのぐ。
 だが、攻撃は連続していて、なかなかこちらから仕掛けることが出来ない。
 何とかしないと。
 港にいた美紀という女の子は、少しの間、自分達を足止めすると言っていた。
 あまり、時間はない筈だ。
 沙織の能力が、一樹の力によって強制的に目覚めさせられる前に。
 何とかそれまでに、灯台へ辿り着かなければ。
 悠は、女をに睨み付けた。
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