Four Tethers〜絆〜
☆☆☆

「諒っ!」

 綾は倉庫から外に出る。辺りを見回すが、諒の姿が見えない。

「…諒…?」

 綾は目を見張る。
 遠くに、諒が倒れていた。
 慌てて駆け寄ろうとした目の前の地面に、突如、轟音とともに大きな穴が開いた。
 綾は振り返る。

「あいつ…まだまだ元気みたいだな」

 まるで何事もなかったように、男が積み上げられた木材の上に立っていた。

「――そっちは終わったのか、綾?」

 何とか起き上がろうとしながら、諒が話しかけた。

「あぁ、こっちは終わった。それより諒、全然余裕ないじゃんか」
「あのなぁ」

 そういう綾の姿も、ボロボロだった。


 綾は諒を抱き起こす。
 右肩に、猛烈な痛みを感じた。

「ぼろぼろじゃねえかよ…お前」
「諒も、ね」

 綾は苦笑する。

「早いとこあいつ片付けて、悠追うぞ。今度は思い切り暴れてやる」

 さっきの分までね、と綾は男を睨み付けた。
 だが男は余裕の表情で、こっちを見つめている。
 綾は一気に跳躍し、男に向かって思い切り衝撃波を放つ。
 だが男は軽く避け、綾に向かって身体ごと飛び掛かって来た。
 腹の辺りに、相手の拳が飛んでくる。
 体を捻って、かろうじてかわす。
 だが、着地のバランスが崩れた。
 すかさず諒が攻撃を仕掛けた。
 綾もすぐさま体制を立て直し、攻撃する。
 二人がかりで、手ごたえは確かにあるのに、相手はまるでダメージを受けている様子はない。

「どうなってんだ…諒がてこずる訳が分かったよ」

 綾は脇腹を押さえる。
 肩で息をしながら、諒もなんとか攻撃体制に入る。
 ――だが。

「………!!」

 男に向かって雷鳴のような電撃が落ちた。
 男は思わずよろける。

「灯台、よ」

 倉庫の入り口の前に、美紀が立っていた。

「灯台からあの人が力を送っているの…早く行って」
「でも…!」

 言いかけた綾の手を、諒が引っ張る。

「…諒!」
「あの子の言うとおりだ。元凶を絶たなければ、いつまでもこのままだ」
「だって…」

 言いかけて、綾はぐっと息を飲む。
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