Four Tethers〜絆〜
(私…人間じゃ、なかった…)
追い求めていた真実を、今やっと理解することが出来た。
沙織は、悠や諒と同じ世界の存在だった。
オールマイティーに何もかもをコントロールする力を持つ存在。
そのあまりにも強大な力を封じ込めるために、沙織はこの人間界に落とされた。
不思議な感覚が、身体を包む。
不安も孤独も、怒りも、何もかも小さな事だった。
自分が何なのか、それが分かっただけでも、幸せだった。
(このまま…)
沙織は、心地よさに、目を閉じる――。
☆☆☆
頃合いを見計らって、一樹は動く。
わざわざ沙織を自分の得意の結界の中に入れたのは、強大な沙織の力をコントロールするためだった。
「………」
一樹は、ふと視線を外へ向けた。
今さっき、最後の『足止め』の気配が消えた。
力の差を考えると、綾が勝つということは想像してはいなかった。
だがこれも、シュミレーションの一つに入っていなかった訳ではない。
もうすぐ、綾がここへ来るのは目に見えている。
邪魔をされないうちに、沙織を閉じこめる結界の強度を増しておく。
その時、灯台の入り口のドアが壊され、綾が中に入ってきた。
「沙織っ!」
綾の目にまず飛び込んできたのは、球状になった結界。
そして、その中に閉じこめられている沙織の姿だった。
「…返してもらうよ」
自分でも驚くほど、低い声が出た。
怒りに体が震える。
「一足、遅かったみたいだ…彼女はもう、覚醒してしまったよ」
沙織はずっと、球体の結界の中で身体を丸めて蹲っている。
その表情はどことなく穏やかで、幸せそうだった。
「…覚醒? 能力が目覚めたってことか」
「そうだ。そして今は、この結界を通して、力は俺がコントロールすることになる」
「…ふん」
勝ち誇った顔でそう言い放つ一樹に、綾は不敵な笑みを返した。
「お前みたいな器の小さい奴に、人が操れる訳がない」
綾のその言葉は、確信に近かった。
一樹の顔が、一瞬強ばる。
「…前にも忠告した筈だ」
静かだが、怒りを含んだ口調。
「俺を怒らすな、ってね!」
一樹の言葉と同時に、辺りの空間が歪んだ。
追い求めていた真実を、今やっと理解することが出来た。
沙織は、悠や諒と同じ世界の存在だった。
オールマイティーに何もかもをコントロールする力を持つ存在。
そのあまりにも強大な力を封じ込めるために、沙織はこの人間界に落とされた。
不思議な感覚が、身体を包む。
不安も孤独も、怒りも、何もかも小さな事だった。
自分が何なのか、それが分かっただけでも、幸せだった。
(このまま…)
沙織は、心地よさに、目を閉じる――。
☆☆☆
頃合いを見計らって、一樹は動く。
わざわざ沙織を自分の得意の結界の中に入れたのは、強大な沙織の力をコントロールするためだった。
「………」
一樹は、ふと視線を外へ向けた。
今さっき、最後の『足止め』の気配が消えた。
力の差を考えると、綾が勝つということは想像してはいなかった。
だがこれも、シュミレーションの一つに入っていなかった訳ではない。
もうすぐ、綾がここへ来るのは目に見えている。
邪魔をされないうちに、沙織を閉じこめる結界の強度を増しておく。
その時、灯台の入り口のドアが壊され、綾が中に入ってきた。
「沙織っ!」
綾の目にまず飛び込んできたのは、球状になった結界。
そして、その中に閉じこめられている沙織の姿だった。
「…返してもらうよ」
自分でも驚くほど、低い声が出た。
怒りに体が震える。
「一足、遅かったみたいだ…彼女はもう、覚醒してしまったよ」
沙織はずっと、球体の結界の中で身体を丸めて蹲っている。
その表情はどことなく穏やかで、幸せそうだった。
「…覚醒? 能力が目覚めたってことか」
「そうだ。そして今は、この結界を通して、力は俺がコントロールすることになる」
「…ふん」
勝ち誇った顔でそう言い放つ一樹に、綾は不敵な笑みを返した。
「お前みたいな器の小さい奴に、人が操れる訳がない」
綾のその言葉は、確信に近かった。
一樹の顔が、一瞬強ばる。
「…前にも忠告した筈だ」
静かだが、怒りを含んだ口調。
「俺を怒らすな、ってね!」
一樹の言葉と同時に、辺りの空間が歪んだ。