Four Tethers〜絆〜
「沙織ちゃん、こいつ最近、素直になったと思わない?」

 悠の言葉に、沙織はうんうん、と頷く。

「早起き出来るようになったしね」
「一瞬一人になって、俺達のありがたさが分かったからじゃねぇの?」

 また諒が悪戯っぽく茶々を入れる。

「だぁからその話はやめろ、諒っ! 沙織、こいつら向こうに帰してやれ」
「ホントにいいの? めっちゃ寂しがり屋のくせに」

 沙織はそう言ってけらけら笑った。

☆☆☆

 家に帰り、まだ目を開かない沙織をベッドに寝かせた。
 そして、悠が“癒やし”始める。

「沙織…目を開けて…お願い」

 綾は祈るように、そう呟いた。
 しばらくすると、沙織はうっすらと目を開ける。

「…気がついた? 沙織ちゃん」

 ほっとしたように、悠が言った。

「悠くん…綾、諒くんも…」

 周りにいる仲間を確かめて、沙織は笑顔を浮かべる。

「よかった、助かったんだ…」
「力を使いすぎたんだよ。あまり無茶したらダメだ。俺の力を少し分けたよ」
「ごめんね…ありがとう…綾?」


 ふいに後ろを向いた綾に、沙織は声をかける。

「こいつ、さっきから涙腺ゆるみっぱなし」

 諒がからかうように言った。

「綾、ごめんね」
「…った…」
「え?」
「また、誰もいなくなると思ったから…」

 子供のように、泣きながら綾は言った。
 三人は苦笑する。

「俺達がおまえを残して、いなくなる訳がない。だろ?」

 ただただ、頷きながら泣く綾。

☆☆☆

 綾は入れたてのコーヒーを沙織の目の前に置いた。

「でも、沙織はまだ“完治”してないもんね」

 最近入れ方を教えてもらったばかりのコーヒーを沙織に採点してもらうのが、朝の日課になっていた。

「そうね…でもあんな力、いらないわ」

 沙織は苦笑して、綾の入れたコーヒーを飲む。
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