Four Tethers〜絆〜
 あの時、あまりにも力を使いすぎた為、沙織の力は全く残っていなかった。
 いつかはまた復活するかもしれないが、それがいつになるのか想像もつかない。
 だが、沙織にとってそれはどうでもいいことだった。
 おかげで、今は元通りの生活に戻り、とても幸せだ。

「なんで〜? 何もかも思い通りになるんだよ?」

 いいなぁ、あたしもそんな力が欲しかった、と綾は羨ましそうに言う。
 沙織は笑って答えた。

「そんな力使わなくても、今は私の思い通りになってるわ」

 あーあー、幸せな奴、と綾は言った。
 沙織は特上の笑みを浮かべている。
 90点、と沙織は付け足した。
 ちぇっ、と舌打ちをしながら、綾はあと10点は何なんだ、と頭を抱える。
 そんな様子を見て、沙織はクスクス笑った。

「本当に、幸せ」

 悠がいて、諒がいて、綾がいて、自分もいる。
 それが今は、何よりも嬉しかった。
 こんなに大切なものが、自分にも持てたことも。
 いつまでも、こんな日常が続くことを、沙織は心から願っていた…。










【THE END】
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