Four Tethers〜絆〜
 まだ息があがっている。
 この女を食い止めると言って灯台に残った綾は…まさか。

『鍵…』

 女は沙織の方へ手を伸ばした。
 思わず、後退る。
 心臓がどきどきする。
 だが、ここで恐れてばかりでは何も変わらない。
 沙織は目を閉じて、息を整えた。
 今、自分に出来ること…力も何もないけれど。
 簡単にやられる訳にはいかない。
 綾も、全力で戦ってくれているのだ。
 意地でも、この状況をどうにかしてやる。

(悠くん…諒くん!)

 歯を食い縛って敵を睨み付けた時、ふと、沙織は胸の奥で何か、大きな空間が広がっていくような感覚を覚えた。
 すると、女はその美貌を一瞬だけ驚愕の色に染め、そのままフッとかき消されるように消えた。
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