Four Tethers〜絆〜
ふと窓際の客席を見ると、いつの間に彼女はその場からいなくなっている。
男達は不躾に店内を見回していた。
一人は眼鏡をかけた真面目タイプ、もう一人は茶髪の爽やかタイプ。
二人はまるで正反対に見えたが、どちらも細身で背が高い。
良く見ると、二人とも“いい男”系で、とても悪人には見えない。
…まぁ、偏見かも知れないが。
「…ここに、女が来たよな?」
茶髪が口を開く。
沙織は答えに詰まる。
…ほんっっとうに、どう答えたらいいのか。
もしかしたら、さっきの彼女はこの二人に追われているのかも知れない。
この男達が悪い人間だったら、こっちの身も危ない。
だが、本当にこの二人から逃げて来たのなら、ここに来た時点で彼女はそう言う筈だ。
それに、今入ってきた男二人はとても、彼女を襲うようなタイプにも見えない…いや、どっちにしろ全く何も状況が飲み込めていない。
「あ、あの…」
沙織が答えに戸惑っていると、真面目な方が言った。
「俺たちは決して怪しい者では…」
なんだかさっきも同じようなセリフを聞いたような気がする。
だが真面目君が言い終わらないうちに、茶髪がつかつかとカウンターの方へ動いた。
「ち、ちょっ…」
制止する間もなく、茶髪はカウンターの奥の、店と繋がっている沙織の住居スペースに入って行った。
「ちょっと! 何勝手に人の家に入ってるのよ!?」
…考えが甘かった。
不法侵入者だ。
勝手に他人の家に入ったら、それは立派な犯罪だ。
沙織は慌てて電話に手をかける。
だが、もう一人の真面目君に止められた。
「勘違いしないで。俺達は、彼女…綾の知り合いです」
「…綾っていうんですか、あの人?」
言ってから、沙織は口を押さえる。
匿うつもりじゃなかったのか?
きっと彼女は、この二人に襲われていたんだ。
自分のせいで、もし彼女に何かあったら。
そこまで考えて、沙織はとにかく大きな声を出せば誰かが気付いてくれるかも知れない、と大きく息を吸い込んだ。
その時、家の奥から茶髪の声がする。
叫ぼうとしていたのに思わず息が止まり、咳き込む沙織。
男達は不躾に店内を見回していた。
一人は眼鏡をかけた真面目タイプ、もう一人は茶髪の爽やかタイプ。
二人はまるで正反対に見えたが、どちらも細身で背が高い。
良く見ると、二人とも“いい男”系で、とても悪人には見えない。
…まぁ、偏見かも知れないが。
「…ここに、女が来たよな?」
茶髪が口を開く。
沙織は答えに詰まる。
…ほんっっとうに、どう答えたらいいのか。
もしかしたら、さっきの彼女はこの二人に追われているのかも知れない。
この男達が悪い人間だったら、こっちの身も危ない。
だが、本当にこの二人から逃げて来たのなら、ここに来た時点で彼女はそう言う筈だ。
それに、今入ってきた男二人はとても、彼女を襲うようなタイプにも見えない…いや、どっちにしろ全く何も状況が飲み込めていない。
「あ、あの…」
沙織が答えに戸惑っていると、真面目な方が言った。
「俺たちは決して怪しい者では…」
なんだかさっきも同じようなセリフを聞いたような気がする。
だが真面目君が言い終わらないうちに、茶髪がつかつかとカウンターの方へ動いた。
「ち、ちょっ…」
制止する間もなく、茶髪はカウンターの奥の、店と繋がっている沙織の住居スペースに入って行った。
「ちょっと! 何勝手に人の家に入ってるのよ!?」
…考えが甘かった。
不法侵入者だ。
勝手に他人の家に入ったら、それは立派な犯罪だ。
沙織は慌てて電話に手をかける。
だが、もう一人の真面目君に止められた。
「勘違いしないで。俺達は、彼女…綾の知り合いです」
「…綾っていうんですか、あの人?」
言ってから、沙織は口を押さえる。
匿うつもりじゃなかったのか?
きっと彼女は、この二人に襲われていたんだ。
自分のせいで、もし彼女に何かあったら。
そこまで考えて、沙織はとにかく大きな声を出せば誰かが気付いてくれるかも知れない、と大きく息を吸い込んだ。
その時、家の奥から茶髪の声がする。
叫ぼうとしていたのに思わず息が止まり、咳き込む沙織。