Four Tethers〜絆〜
「凄く…綺麗…!」

 沙織は思わず、涙を滲ませた。

「なっ…泣かすつもりじゃ…」

 その涙の訳が分からずに、慌てふためく綾。

「違うの…あんまりきれいで…感動した」

 そうかぁ…と、ほっとする綾。

「怖くなかった?」
「不思議とね」

 沙織は笑った。
 この時すでに、沙織はどんなことがあっても『信じる』ことに決めよう、と心に誓っていた。
 …ふと、綾はその場に座り込む。

「どうしたの?」
「…い、いやぁ…あれだけ悠に無茶すんなって言われた意味が、今分かった…」

 そう言われて、沙織ははっとする。
 そういえば綾は、この前の傷がまだ完全に治っていないのだ。

「綾! すぐ帰ろう! 帰って寝なきゃ!」

 今度は沙織が慌てる。

「いや、大丈夫…」
「大丈夫じゃないでしょ!」
「ヤバい…今帰ったらきっと、悠が玄関で仁王立ちして待ってる…」

 その光景を頭の中で思い描き、笑っていいものかどうか悩む沙織。
 さっきの一件はきっと、悠や諒には分かっているのだろう。
 あれだけ、まだ本調子じゃないんだから無茶はするな、と釘を刺されていたのに。
 これは、怒られても仕方がない。

「諦めなさい、綾」

 目一杯の同情を込めて、沙織は言った。
 あーやだよー、と頭を抱える綾に、帰ったらちゃんと綾の弁護をしてあげよう、と沙織は心に誓った。
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