Four Tethers〜絆〜
【第三章】
ACT.1…『旅 行』
それからしばらくは、何もない日々が続いた。
二人で出掛けたあの日、案の定、返ると悠が玄関で待っていた。
さすがに仁王立ちまではしていなかったが。
心配したんだぞ、と怒る悠を、沙織は必死に宥めてなんとか許してもらい、その場は何とか丸く納まった。
海水浴シーズンも終わりを告げて、そろそろ喫茶店も落ち着いてきた。
「ねぇ、明日の定休日、みんなでどこかに行こうよ」
客足も減った昼過ぎにそう提案したのは、沙織だった。
「もう夏休みも終わりだし、みんなが働いてくれたおかげで今年は売り上げも上がったし、できれば泊まりがけで旅行でも」
「それいいねぇ〜!」
真っ先に話に乗ってきたのは、言わずと知れた綾だ。
「でも、どこに行くんだ?」
カウンターの中で皿を洗いながら、諒が言った。
「温泉いいな」
「遊園地!」
悠と綾が同時に言う。
う〜、と睨み合う悠と綾。
それから四人であぁだこうだと吟味した結果、ここから車で三時間ほど走った場所にある高原はどうかと、沙織は言った。
その近くには、温泉も遊園地もあるから、という理由。
「海ばかりだから、たまには山もいいな」
「うん、あたしは遊園地があれば大満足♪」
沙織のプランに、皆は納得したようだった。
「そうと決まったら準備しなくちゃなっ!」
綾はすでにうきうき気分で、旅行の仕度を始めていた。
「お店、二日も休んで大丈夫?」
悠が聞く。
「たまにはいいでしょ」
綾の励ましが効いているのか、最近はすっかり明るさを取り戻した沙織を見て、悠は笑った。
☆☆☆
次の日は絶好のドライブ日和だった。
一緒に生活するようになってから初めて四人揃って出掛けるということもあって、みんな楽しそうだった。
急なことだったので、小さなペンションしか予約がとれなかったが。
道中ずっとハイテンションな綾に付き合わされて多少は疲れたが、高原のひんやりした空気と、爽やかに広がる緑を見たらすっかり気分が和んだ。
「う〜ん、いい空気」
息を思い切り吸い込んで、深呼吸する。
平日ということもあり、遊園地は空いていた。
二人で出掛けたあの日、案の定、返ると悠が玄関で待っていた。
さすがに仁王立ちまではしていなかったが。
心配したんだぞ、と怒る悠を、沙織は必死に宥めてなんとか許してもらい、その場は何とか丸く納まった。
海水浴シーズンも終わりを告げて、そろそろ喫茶店も落ち着いてきた。
「ねぇ、明日の定休日、みんなでどこかに行こうよ」
客足も減った昼過ぎにそう提案したのは、沙織だった。
「もう夏休みも終わりだし、みんなが働いてくれたおかげで今年は売り上げも上がったし、できれば泊まりがけで旅行でも」
「それいいねぇ〜!」
真っ先に話に乗ってきたのは、言わずと知れた綾だ。
「でも、どこに行くんだ?」
カウンターの中で皿を洗いながら、諒が言った。
「温泉いいな」
「遊園地!」
悠と綾が同時に言う。
う〜、と睨み合う悠と綾。
それから四人であぁだこうだと吟味した結果、ここから車で三時間ほど走った場所にある高原はどうかと、沙織は言った。
その近くには、温泉も遊園地もあるから、という理由。
「海ばかりだから、たまには山もいいな」
「うん、あたしは遊園地があれば大満足♪」
沙織のプランに、皆は納得したようだった。
「そうと決まったら準備しなくちゃなっ!」
綾はすでにうきうき気分で、旅行の仕度を始めていた。
「お店、二日も休んで大丈夫?」
悠が聞く。
「たまにはいいでしょ」
綾の励ましが効いているのか、最近はすっかり明るさを取り戻した沙織を見て、悠は笑った。
☆☆☆
次の日は絶好のドライブ日和だった。
一緒に生活するようになってから初めて四人揃って出掛けるということもあって、みんな楽しそうだった。
急なことだったので、小さなペンションしか予約がとれなかったが。
道中ずっとハイテンションな綾に付き合わされて多少は疲れたが、高原のひんやりした空気と、爽やかに広がる緑を見たらすっかり気分が和んだ。
「う〜ん、いい空気」
息を思い切り吸い込んで、深呼吸する。
平日ということもあり、遊園地は空いていた。