Four Tethers〜絆〜
 何故女が、計り知れないパワーを発揮出来るのか。

「綾!」

 悠がやっと観覧車から下に降りたばかりの綾を呼んだ。

「何とかこいつを止めてくれ!」

 綾は女に向かって攻撃する。
 女の集中が一瞬綾の方に逸れた隙に、悠はジェットコースターに向かって走り出す。

「了解。何とか、ね」

 綾はそう言って、再度女めがけて衝撃波を放った。
 予想通りかわされるが、その方向には諒がいる。
 諒は女が避ける方向を見切って、攻撃を仕掛けた。

「やったっ!」

 綾が言った。
 女は初めてダメージを受け、少し困惑の表情を浮かべた。
 そして、次の瞬間。
 綾と諒は、腹にまともに衝撃波をくらい、吹き飛ばされた。
 避ける間もなかった。
 地面に体が打ちつけられて、しばらく動けない。

「うそだろ…」

 這いつくばったまま、綾は目を見張った。
 何故、二人同時に攻撃を食らってしまったのか。
 見上げた空間には、全く同じ姿をした女が二人いる。

「大丈夫か?」

 痛みを堪えて起き上がり、諒が言った。

「大丈夫じゃないなんて言えないだろ…けど、見間違いじゃないよな、諒?」
「あぁ。分身するなんて…最悪、だな」

 腹の辺りを押さえながら、綾はそれでも何とか立ち上がる。

「パワー全開、死ぬ気でいくか」

 守りの悠がいない今、攻撃の一手に出るしかない。

「ほんとに死ぬなよ、綾」
「バカ、例えだよ、例え! 諒は右、あたしは左!」

 言いながら、綾は跳躍した。
 諒もそれに続く。
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