Four Tethers〜絆〜
 悠は苦笑して、言葉を付け足す。

「つまり沙織ちゃんはあの瞬間、あっちの空間を引き出して俺達に物凄いパワーをくれた」
「そんでね、やられて瀕死の諒も生き返ったわけ」

 面白そうに指差しながら言う綾に、諒は呆れ顔で言い返す。

「おまえもだろ、綾」

 そう言われて、綾は腕組みをして考え込んだ。

「…そうなんだよね〜。なんで人間のあたしも動けるようになったんだろう…」

 辺りが真昼のように明るくなったあの瞬間、悠に“癒し”てもらっている時のような、暖かい力が身体を包み込んだ。
 諒も同じ感覚だったと言う。
 みんなは沙織を見つめた。

「ごめん、何があったのか、さっぱり分からない」

 苦笑する沙織。
 だろうねぇ、と一同はため息をついた。
 悠はさっきの事を思い出していた。
 陽子を助けようとして沙織は飛び降りた。
 それを助けようとして飛び降りた悠は、沙織はまっさかさまに落ちながら体中から青白い光を放つのを見た。
 その途端、悠の体にパワーがみなぎり、沙織と陽子の落下地点に防御壁を作った。
 一方、もうかなりダメージを受けていた綾と諒も、瞬時にして回復した。
 あれだけ手こずった相手なのに、短時間で消滅させるほどに…。

(あの力は…)

 悠は思う。
 本人は、何も分かってないらしいが。

(もしかして沙織ちゃん…)

 ある考えが頭の中をよぎる。
 だが今は、その思いは心の中にしまっておくことにする。
 …今はまだ、確信に迫るには早すぎる。

「本当はね、もっと叱られるかと思ったの」

 沙織は言った。

「私なんかが来ても、足手まといになるかと思って…」
「何言ってんだ、前にも言ったじゃん。一緒に戦うって」

 綾が言った。
 悠も諒も、それについては反論しない。

「仲間、だろ?」

 そう言って、綾は笑った。
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