Four Tethers〜絆〜
「でも、利用しようとか、そんなことは考えたことはないのよ。あなたが持っている能力は、あなたが使うものでしょう?」
「はい…」

 自分の能力は、自分で使うもの…。

「これからも、戦いは続くわ。その中で、自分がやらなければならない事をみつければいい」

 婦人の話を聞きながら、沙織は少し考えた。
 これからもずっと、戦いは続くのか。
 自分には何が出来るんだろう…。

「世の中、意味のない事なんてひとつもないのよ。すべてに何か理由がついているものなの。それを考えれば、自ずとやるべきことが見えてくるんじゃないかしら…?」

 沙織は、心の中で婦人の言葉を繰り返した。
 紅茶を飲み終わった諒が、無言のままリビングを出ていく。
 悠も、立ち上がると沙織を促した。

「そろそろ部屋に戻ろう、沙織ちゃん」
「そうね…」

 沙織も立ち上がる。
 そして婦人の方を見た。

「あの…ありがとうございました」

 そう言って、沙織は深々と頭を下げた。

「色々と教えてもらって…感謝してます」

 沙織のその言葉に、婦人は微笑みを返しただけだった。

☆☆☆

 部屋の前に着くと、沙織は悠の方に振り返る。

「悠くんもありがと…なんだか今日は色々なことがありすぎたね」

 昼間はみんなで遊園地であれだけはしゃいで、夜はあんな壮絶な戦いをして。
 沙織はそれを思い出して苦笑する。
 そんな様子の沙織を見つめて、悠は言った。

「沙織ちゃん、もう寝る?」
「どうかな…寝られないかも」

 妙に頭が冴えていて、すぐには寝られそうにない。

「じゃあさ…もう少し、話してもいいかな?」

 そんな悠の言葉に、沙織は笑って答える。

「こっちからお願いしたいくらいよ、悠くん。ついでに少し、飲もうか」
「オッケー。喜んで付き合うよ」

 部屋に入り、沙織は冷蔵庫から氷を取り出すと、グラスにブランデーを注いだ。
 テーブルに向かい合って座り、グラスを合わせて乾杯する。
 いつもよりは多めにブランデーを喉に流し込む。
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