Four Tethers〜絆〜
「携帯? 俺、持ってないんだよね」

 沙織にはいつも携帯持てと言われてるんだけど、綾が嫌がるしなぁ…なんてことを考える。

「そうなんですか…今時珍しい」

 彼女は苦笑した。

「ま、用事があるなら、いつでも店に来な。話があるなら聞くからさ」

 諒の言葉に、彼女は笑顔を作った。

「携帯と言えば、これ」

 諒は思い出したように忘れ物を差し出す。

「あ、ありがとう」

 今度は、目線をしっかり合わせたお礼だ。
 なんだかいい気分のまま、店に帰る。

「りょ〜う〜く〜ん〜…」

 帰った途端、沙織に呼び止められた。
 何か様子がおかしい。

「さっきの値引きは何かなぁ〜?」
「…いや」

 いきさつを話す諒。

「それって…もう、バカね…」

 話を聞き終わった沙織は、呆れた様子で諒に言った。

「何だよ」

 今の話のどこら辺がバカなのか、諒には全く理解出来ない。
 べつにぃ、と沙織は仕事に戻る。
 しっかり値引き180円分、諒に仕事を言いつけてから。
 諒は訳もわからずに、ただひたすら皿洗いを続けていた…。
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