Four Tethers〜絆〜
 三人はそれぞれスプーンを持ち、そっと口にする。

「ねぇねぇ、どう?」

 期待に満ちた眼差しで、綾は聞いた。

「何だこれ…」
「なぁ綾、やっぱりイチゴジャムとママレードはやめた方がいいんじゃないかな…」

 あからさまに不味そうな表情を浮かべる諒と、やんわりと感想を述べる悠。

「何だよ、せっかく根性入れて作ったのに」
「確かに色合いは綺麗に見えるけどね…」

 大不評の中、沙織だけはじっと考え込んでいる。
 ある一角をスプーンでつつきながら。

「どうしたの、沙織ちゃん?」

 悠が言った。

「ねぇ綾、ここらへんに何入れた?」
「…すりおろしりんご」

 あまりの不評さに、また文句を言われるのかと、半ばいじけ気味の綾は答える。
 だが、沙織の言葉は意外なものだった。

「ホントにこれ、新メニューにしようか」
「嘘だろ…」

 絶句する悠と諒。

「ただし、この一角だけね。あとは使えない」
「…おいおい」

 かくして、綾の意外な行動から、すりおろしりんご入りの生クリームを使った新メニューが誕生したのである。
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