Four Tethers〜絆〜
黙っている綾に、沙織はなるべく気持ちが伝わるように、やんわりと言った。
綾は困った、というように頭をポリポリと掻いた。
「…まぁね…隠すつもりもないんだけどさ…」
煙草に火を点ける。
沙織は、灰皿を綾の方へ押してやった。
「ここ何日か、やたらと増えてるんだよ、あぁいうのが」
「…大丈夫なのかな?」
「うん、今のところ、何も動いてないからさ。でも…」
綾は煙を吐いた。
「なんか、数が多すぎるような気がする…」
その言葉に、沙織は少し考え込んだ。
その様子を見て、綾は慌てて言葉を付け足す。
「まぁ、あいつらが帰って来たら言ってみるけどさ。今すぐ何かあるってことじゃないから」
心配すんなよ、と綾は笑う。
それでも沙織は、何故か少し不安になった。
せめて悠と諒が帰ってくるまでの間、何もなければいいのだが。
「そんな顔すんなよな〜。いざとなったらあたしが何とかするからさ」
ガッツポーズで、綾は言った。
「ねぇ、綾は小さい頃から、能力があったの?」
沙織はふと、綾にそんな事を聞いてみる。
「ん? あぁ、今思うと、あったんだろうね」
「今思うと?」
「うん。本当に気付いたのは、高校に入る頃だった。それまではね、自分の力がコントロール出来なくて、周りに気味悪がられてたよ。自分でも訳分かってないのにさ〜」
今でこそ笑ってるが、沙織はその言葉で、綾がどれだけ苦労して生きて来たのを悟った。
普通の人間ではあり得ないような、優れた運動能力…そして、攻撃する力。
沙織が黙っていると、綾は少し俯いた。
「隠すのに、必死だったよ…。体育なんて大嫌いだった」
「そう…」
本当の自分はこうじゃない。
…なのに、誰も自分の事を分かってくれない。
両親でさえ、自分の事を気味悪がり、突き放した。
話しかけてさえくれない。
友達も…好きな人でさえも、綾を避けた。
「どうした?」
綾が不思議そうに、沙織の顔を見る。
「何で泣くの?」
「…あれ?」
綾に言われて、初めて自分が泣いているのに気付く。
綾は困った、というように頭をポリポリと掻いた。
「…まぁね…隠すつもりもないんだけどさ…」
煙草に火を点ける。
沙織は、灰皿を綾の方へ押してやった。
「ここ何日か、やたらと増えてるんだよ、あぁいうのが」
「…大丈夫なのかな?」
「うん、今のところ、何も動いてないからさ。でも…」
綾は煙を吐いた。
「なんか、数が多すぎるような気がする…」
その言葉に、沙織は少し考え込んだ。
その様子を見て、綾は慌てて言葉を付け足す。
「まぁ、あいつらが帰って来たら言ってみるけどさ。今すぐ何かあるってことじゃないから」
心配すんなよ、と綾は笑う。
それでも沙織は、何故か少し不安になった。
せめて悠と諒が帰ってくるまでの間、何もなければいいのだが。
「そんな顔すんなよな〜。いざとなったらあたしが何とかするからさ」
ガッツポーズで、綾は言った。
「ねぇ、綾は小さい頃から、能力があったの?」
沙織はふと、綾にそんな事を聞いてみる。
「ん? あぁ、今思うと、あったんだろうね」
「今思うと?」
「うん。本当に気付いたのは、高校に入る頃だった。それまではね、自分の力がコントロール出来なくて、周りに気味悪がられてたよ。自分でも訳分かってないのにさ〜」
今でこそ笑ってるが、沙織はその言葉で、綾がどれだけ苦労して生きて来たのを悟った。
普通の人間ではあり得ないような、優れた運動能力…そして、攻撃する力。
沙織が黙っていると、綾は少し俯いた。
「隠すのに、必死だったよ…。体育なんて大嫌いだった」
「そう…」
本当の自分はこうじゃない。
…なのに、誰も自分の事を分かってくれない。
両親でさえ、自分の事を気味悪がり、突き放した。
話しかけてさえくれない。
友達も…好きな人でさえも、綾を避けた。
「どうした?」
綾が不思議そうに、沙織の顔を見る。
「何で泣くの?」
「…あれ?」
綾に言われて、初めて自分が泣いているのに気付く。