Four Tethers〜絆〜
「…何…今の…?」
一瞬、綾の幼い頃と、高校時代の映像が頭の中をよぎったような気がした。
その心の中までも。
それを見たから、涙が出てきた。
でも…どうしてなのか、全く分からない。
「大丈夫?」
「あ、うん、平気…ごめんね」
涙を拭い、沙織は笑う。
「で、でもさ、他にも能力を持つ人間って、いるのかな?」
泣いた理由は、綾には言わずにおくことにした。
何故か、そうしたほうがいいような気がして。
「そりゃいるだろ? ここに二人も能力者がいるんだよから。それに」
「何?」
「奴等とあたし達の違いは、肉体を持つか持たないかだけだよ」
綾はそう言って、ビールを飲んだ。
「どういう事?」
「肉体から解放されれば、誰でも能力者に成りうるってことさ」
「解放…」
つまり、この世界の人間は誰でも、能力者だということ。
ただ、肉体という殻を破れないだけ…。
沙織は何となく、綾が言った“解放”という言葉が気になった。
☆☆☆
次の日。
お店は定休日なのだが、何故か早起きしてしまった沙織は、洗濯と朝ご飯の支度をしていた。
昨日からどうも、胸の中にもやもやしたものが溜まっているような気がしてならない。
せっかくの定休日で、外も気持ちがいい晴天だし、軽くストレス発散したい気分だった。
「おぁよ…」
ボサボサの頭で、目を擦りながら起きてきた綾が起きてきたのは、九時半過ぎだった。
「おはよ。朝ご飯できてるよ。ねーねー、今日は何をする?」
「妙に元気だね…」
綾は朝がめっぽう弱いのだ。
だから、何故か朝からテンションの高い沙織にイマイチ付いていけない。
沙織が作ったフレンチトーストを片手に、まだボーッとしている。
「沙織〜…新聞は?」
「なんか私、綾の奥さんみたいね」
苦笑しながら、綾に新聞を渡す沙織。
何気なくそれを見ていた綾はふと、小さな記事に目が止まる。
『少年少女、家出相次ぐ』
そんな見出しだ。
そして、その隣には、別な記事。
『海や山で行方不明』
「どっちも同じような記事だよな…」
そう呟いて、綾はもう一口、トーストをほおばる。
一瞬、綾の幼い頃と、高校時代の映像が頭の中をよぎったような気がした。
その心の中までも。
それを見たから、涙が出てきた。
でも…どうしてなのか、全く分からない。
「大丈夫?」
「あ、うん、平気…ごめんね」
涙を拭い、沙織は笑う。
「で、でもさ、他にも能力を持つ人間って、いるのかな?」
泣いた理由は、綾には言わずにおくことにした。
何故か、そうしたほうがいいような気がして。
「そりゃいるだろ? ここに二人も能力者がいるんだよから。それに」
「何?」
「奴等とあたし達の違いは、肉体を持つか持たないかだけだよ」
綾はそう言って、ビールを飲んだ。
「どういう事?」
「肉体から解放されれば、誰でも能力者に成りうるってことさ」
「解放…」
つまり、この世界の人間は誰でも、能力者だということ。
ただ、肉体という殻を破れないだけ…。
沙織は何となく、綾が言った“解放”という言葉が気になった。
☆☆☆
次の日。
お店は定休日なのだが、何故か早起きしてしまった沙織は、洗濯と朝ご飯の支度をしていた。
昨日からどうも、胸の中にもやもやしたものが溜まっているような気がしてならない。
せっかくの定休日で、外も気持ちがいい晴天だし、軽くストレス発散したい気分だった。
「おぁよ…」
ボサボサの頭で、目を擦りながら起きてきた綾が起きてきたのは、九時半過ぎだった。
「おはよ。朝ご飯できてるよ。ねーねー、今日は何をする?」
「妙に元気だね…」
綾は朝がめっぽう弱いのだ。
だから、何故か朝からテンションの高い沙織にイマイチ付いていけない。
沙織が作ったフレンチトーストを片手に、まだボーッとしている。
「沙織〜…新聞は?」
「なんか私、綾の奥さんみたいね」
苦笑しながら、綾に新聞を渡す沙織。
何気なくそれを見ていた綾はふと、小さな記事に目が止まる。
『少年少女、家出相次ぐ』
そんな見出しだ。
そして、その隣には、別な記事。
『海や山で行方不明』
「どっちも同じような記事だよな…」
そう呟いて、綾はもう一口、トーストをほおばる。