七色の朝日~永遠に続く恋物語~
「蒼谷、くんっ…」
 椿は泣きそうになるのを必死でこらえた。
「どしたの、佐久良」
 椿はそれ以上言葉が出なかった。
 静矢の顔を見たら、何を言えばいいのか分からなかった。
 ‘好き’って一言、口に出すだけなのに。
 たった2文字がのどの奥で詰まる。
「私は、私は――――――」
 言えたのかは分からない。
 でも、それでも。
「蒼谷くんが、蒼谷くんのことが」
 あと、2文字。



「好き」



 長い、長い、沈黙。
 本当は数秒だったとしても、椿には、長く感じた。
 今まで椿が感じてきた中で、一番長く感じた時間。

「佐久良」
 思わず、体がすくむ。
 もし、もしも――――フラれたら。
 思考がマイナス思考になる。
 そして、静矢は言った。
「本当に、いいの?」
 椿は、頭が真っ白になって、そして。
 静矢の言葉を、理解した。
 椿は頷いた。
 そして。
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