振り向いて…


「流香ー…?」


「お前なに泣いてんだよ。」


そう言って俺は涙を一粒一粒拭っていく。


「どうして……」


流香が俺に問いかけた。


「嫌いだから。大嫌いだから……」


俺はそう言って背を向けた。


これ以上傷つけたくない。


これ以上そばにいたら、俺の努力が無駄になってしまう……


それだけで流香のことを気にとめる余裕なんて、なかったんだ。




< 21 / 200 >

この作品をシェア

pagetop