振り向いて…
そっと教室を出て、誰もいない廊下を歩く。
「司先輩!!好きです。入学した時からずっと……」
裏庭の近くから聞こえた女の子の声。
…司告白されてる。
チラッと見ると、そこには可愛い女の子と無愛想な司がいた。
「俺、興味ないからー…」
そうダルそうに答えてその場から去ろうとしていた。
「待って下さい!!どうして?どうして告白を断り続けるんですか?!」
「……大切な人がいるからですか?」
私のその場から離れようとしてた足が張りついたように動かなくなった。
この先を聞きたくない。そう思う自分がいるのに、気になっている自分がいるのもたしかだった。
「忘れられない、忘れたくない人がいるからだよ。」
小さな声のはずなのに、私の中にはとても大きく響いた。
そしてまた涙がこぼれ落ちた。