hit! 〜鈴鳴と宙音の恋物語〜


「…チッ
ほら、早く帰るわよ!」


鈴鳴に舌打ちされた!

…まぁ驚くほどのことじゃないけど。

つぅかいつものことだけど。


「何怒ってんだよ、鈴鳴?」


でもなんか今日はめちゃくちゃ怒ってるっぽい。

俺そんなに遅くなってねぇよな?

つか9分って別にフツーじゃね?


「…何してたのよ?」


「へ?」


なんだその気の抜けた“へ?”って!

反射的にそういっちまった。


「だから、さっきまで何してたのって聞いてんの!」


こえー。

ったく可愛い顔して毒舌だよなぁ。


まぁ、そういうとこも含めて…好きだけど。


や、まぁ読者の皆さんには隠してもしょうがないから言っとくけど、

俺の好きな人とは…



鈴鳴です。



もーずっと鈴鳴一筋。

小さい頃から。

謡にも協力してもらってる。


いやー我ながら俺って一途だよなぁとか思う。

絶対告んねえけど。


だって、今のままで十分だし。

一緒にいれるだけで幸せーーーっていうやつ?


「ちょっと、宙音!?
黙ってないでなんとか言いなさいよ!
それとも日本語通じてない?
あーあんたバカだもんねぇ
脳の中空っぽなんじゃないの、マジで。」


「入ってるわ、ボケ。」


たくさん味噌入ってる!

脳みそ入ってる!


「えー?
あ、分かった!
脳に綿詰め込んでるでしょ。
みそじゃなくて綿詰め込んでるんだ。
あーなるほどねぇ
どーりでバカなわけだ。」


バカで悪かったな、バカで!


お前だってバカだろーーーとか言いたいけど、ここは我慢だ。

なんでかって?

鈴鳴…あー見えて頭いいんだよ。


クラスで3位以内には入るんじゃね?

俺は頭悪い方から数えたほうが早いなぁ。

うん、悲しいことに。



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