夕焼け色の再会
滑るように走り出した車は運転の技術のせいか、または綺麗に舗装してある道路のせいか、車の性能なのか、振動をほとんど感じさせなかった。
革の匂いを吸い込み、背もたれに身体を預けて窓の外を流れる景色を眺める。
指は無意識に忙しなく、膝の上に置いた小さな鞄の金具をもてあそんでいた。
長谷川家に向かう前に、私はどうしても行きたい場所があった。
それは叔父たちにも伝えてあったため運転手も知っているようで、なにも言わずにそこまで連れて行ってくれた。
人や車が多かった都心からは離れ、だんだんと緑が増えていく。
やがて車がゆっくりと停車する。
そこはとある霊園。
父の眠る場所。
車を降りると、運転手―松野という名前らしい―が私を案内してくれた。
その腕には、花束が抱えられている。
それは私が頼んでおいたもので、父の墓前に供えるための花だ。