夕焼け色の再会
「私の父親が、長谷川グループ現会長の長男で、社長はその弟、私にとっては叔父にあたるの。ただ、私自身がそのことを知ったのはつい数か月前で、あの頃結衣に隠していたわけでもなかった。さらに言えば、私がこの本宅に来たのも、今回が初めてなの」
本当に、あの夏から多くのことが起こり、変わってしまったものだと改めて思う。
「結衣には前に言ったけど、私の両親は離婚していて、だけど私はずっと父親の姓を名乗ってた。でも、皇ヶ丘から・・・・東京から出るときに、母方の姓に変えたの。だから今の私の本名は、高橋亜美」
「名字まで、変わったの? 亜美、何があったの? いきなりいなくなって・・・・」
「結衣、長谷川さんはちゃんと話してくれるから、最後まで聞くんだ」
羽島総司 ―羽島くん、と呼んでもいいだろうか― が、再び質問を浴びせかけようとした結衣を黙らせる。
結衣はまだなにかを言いたそうにしていたけれど、とりあえずといった様子で口を閉じた。
「お父さんがこの長谷川家の人間だって私が知ったのは、ほんの五ヶ月くらい前・・・・お父さんが、亡くなった、ときだった」
結衣は私の両親とも面識があった。
私の言葉に、結衣が息を飲む音が聞こえた。