夕焼け色の再会
「もう訊いてもいい? なんで突然いなくなったの? みんなに何も言わずに。
最後にあたしにくれたメール、あれは何? “ごめんね。今までありがとう”だけじゃ何にもわからない!
今でも覚えてる。遠征明けで、珍しい一日オフがあった次の日から部活も来ない。連絡もつかない。先生に聞いても教えてくれない。少ししてからそのメールだけ来て、また連絡がつかなくなって、部活を辞めたのかと思ったら、夏休みが終わったら学校からもいなくなってた!」
鋭い言葉で感情をぶつけられ、思わず目を逸らしたくなった。
けれど、私は向き合わなければいけない。
あのとき捨てて背を向けて、置き去りにして逃げだしてしまった私が、大切なものを取り戻すには、真正面から立ち向かうしかないのだ。
大丈夫。
怖いものはもう、見つくした。
これ以上失うものはない。
だったら一縷の望みをかけて、がむしゃらにぶつかってみてもいいのではないか。
目を閉じて、決心する。
彼女にだったら話せる、今も私の胸を痛ませる過去を。
「羽島くん、少しだけ、結衣と二人きりにさせて」
彼は静かに頷き黙ってその場を立ち去り、私と彼女だけが張り詰めた空気の中に取り残された。