夕焼け色の再会
「あの、あのオフの日、私のお母さんが・・・・」
―――亡くなったの。
その言葉を絞り出すのに、相当な時間を要した。
蘇る記憶は紅く染まっていて、じわりじわりと私の心を蝕もうとしていく。
それでも。
辛くても苦しくても、向き合うと決めたのだから。
「え・・・・? だってさっき、お父さんが亡くなったって」
「お父さんは12月に病気で。お母さんは、去年の夏に・・・・」
こみ上げる嗚咽をこらえて言葉を繋いだ。
「精神を病んだ末の、・・・・自殺だった」
それでも、改めてその事実を口にすることは耐えがたい苦痛だった。
母の苦しみを想うと、自分の愚かさが透けて見えて、それが胸を刺し貫く。
こらえきれずに溢れた涙は、母への弔いでもなく、自責の念でもなく、ただただ悲壮な孤独感があらわれたものだった。
結衣は口元に手を当て、驚いたように目を見開いたまま固まっている。
「当然、皇ヶ丘にはいられなくなった。でも、学校なんてどうでもよかった。皇ヶ丘は、ただの箱で、私にとってはみんなだけが、大切だった」
みんなというのはもちろん、同じ夢を追いかけた仲間でありかつての同志たち。
それでも、学校を去る以上、それを求めることもできなかった。